<6> | ||
「ケルビンさん。 この勝負、私達の勝ちです。」 凛とした勇者アイリの言葉。 勝ち誇った智天使ケルビンの表情が、途端に崩れる。 一同は驚愕し、アイリに注目した。 意に介せず彼女は、語り続ける。 「私は、かつて『星を見る者』に、出会った事があります。 場所は『ルザミ』の孤島。 其処には、地動説を唱えて流刑になったガルレオさんが、 望遠鏡で星を眺めていました。」 唖然とし、言葉を失ったままの智天使ケルビン。 その反応を『正解』と受け取った勇者アクシズは、荷物を持ち上げた。 「じゃあ、次の目的地は『ルザミ』だ。 船で行くから、少し時間がかかるが、何とかなるだろう。」 「ラーミアが居てくれたら、早く行けるのだけど……。 でももう、次の世界に旅立ってしまったから……。」 「じゃあ、行きましょうか!!」 勇者達3人と一匹は、賢者ディートの瞬間転移呪文『ルーラ』で、 『ルザミ』の近場まで飛ぶ。 __こ、こんな筈では……。 頭を抱え、勇者達の消えた床を見つめる智天使ケルビン。 ……と。 突然、鞭が彼の上半身に纏わり付き、ケルビンは後方へ倒れる……!! 衝撃で丸眼鏡のレンズにヒビが入り、 彼は眼鏡を手に取ると、愕然となった。 「あら〜〜〜、間に合わなかったか♪」 女性の声に、ケルビンが恐る恐る顔を上げると、 死の天使ガブリウルが冷たく嘲笑している。 __……!!? 何時(いつ)からいたのだろう……。 戦慄し後退り、逃げようとしたケルビンの首根っこを、 死の天使アズライルが捕まえる。 そして、そのまま床にケルビンを叩きつけた……!! 「言え!!!! 『ロト』は、何処に行った……!!?」 「そんな奴に聞く事ないですよ。 『勇者の魂』は何故か『ルザミ』に向かっているみたいですからね……。」 死の天使ミハエルが、額に指を当てながら微笑する。 すると、死の天使3人はアズライルの瞬間転移呪文『ルーラ』で消えてしまった。 __こ、これは、大変マズイことになりましたよ……!! 智天使ケルビンは上体を起こすと、 ヒビの入ったままの丸眼鏡を掛けなおし、震撼した。 |
||
■次へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |