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「そうか……。
 ありがとう……。ご苦労だった。」

地上界。
アリアハン城。
謁見の間で、バラモス城偵察に行った兵士の報告を聞いた勇者オルテガは、
国王の前に向き直り、跪(ひざまず)いた。

「陛下。
 出国の許可を……!!」
「うむ。
 気を付けて行かれよ。
 リオールもな……。」

オルテガの後に控えていた僧侶リオも同様に跪く。
一方、エクル大臣は孫娘リオが、
また何処かに行ってしまうのが心配らしく、
オロオロしている。

城を後にし、城門前の橋の上で、オルテガは力なく呟く。

「ゾーマの城は完全に崩壊したが、
 バラモス城の方は、崩れていない……。」

__そして、玉座には確かに『バラモス』が居ると……。

兵士の言葉では『バラモス』となっているが、
魔王バラモスは勇者アイリに倒され、
対大魔王ゾーマ戦の時も『バラモスゾンビ』となって出現したところから、
既に滅んでいることが理解出来る。
それでは、兵士の言った『バラモス』とは誰なのか?

__実際に、この目で確かめてみる必要がある……!!

「アイリに知らせなくて、本当にいいんですの?」

気落ちした表情で尋ねるリオに、
オルテガは優しく首を横に振る。

「もし、君の予想が本当だったら、アイリが可哀相だ……。
 アクシズ君にも悪い……。
 だから、この問題は、私が片付けた方が良いのだよ……。」

「……もし、そうだったら、……やっつけないで下さいね。
 彼は……、私達の……大切な『仲間』なんです……。」

悲しさと悔しさから涙が溢れ、
しゃくりあげながらリオが訴える。

__そうだ。コレは何かの間違いだ……。

何か、他に理由がある筈だ。

オルテガは、別れ際のエビル(バラモスエビル)の人良さそうな表情を思い出し、
唇を噛み締め、遥か彼方を見据えた。
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『DQ3』外伝CONTENTS