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結局、智天使ケルビンの言う2問目の答えが見つからず、 勇者達はメルキドで宿を取ることになった。 しかし以前の旅の頃とは違い、 今回は『部屋割り』で非常に揉めることとなる。 2つの部屋の鍵を受け取り、ディートが仕切る。 「部屋は、2人部屋が2室です。 アクシズは、アイリさんと一緒に泊まって下さい。 僕は、スラリンと同室でいいです。」 この言葉に反応したアクシズは、ディートに詰め寄り必死の表情で問うた。 「ディート!!? お前、自分が何言っているのか、解かっているのか……!!?」 「解かっていますよ? だって、部屋は2室しか無いし、スラリンも含めて僕等3人男ばっかだし。 この中でアイリさんが信用出来るのは、アクシズだけでしょう?」 __俺は、『自分自身』が、一番『信用出来ない』んだよ……!!!! 額に汗し、アクシズは拳を握り締める。 だが、恋人であるアイリは、 彼が狼狽する意味が、全く解かっていないのか、 純真無垢な瞳で見つめてくる。 「じゃ、『頑張って』下さいね♪」 「……!!?」 ニッコリ笑って、ディートはアクシズに部屋の鍵を渡す。 驚愕したまま固まっているアクシズに対し、 アイリは恥らいながらも内心嬉しそうである。 スラリンは初めて見る宿の内装に喜んでいる。 「アクシズ。 私、買い物に行ってくるから、先に部屋に行ってて。」 アクシズに荷物を渡し、アイリは微笑んだ。 荷物まで渡され、逃げ場を完全に失った彼は、唖然として言葉が出ない。 だが、何とか首だけ縦に振ると、彼女を見送り、大きな溜め息をついた。 「ディート。」 自分の部屋に行こうとしたディートを、アクシズが止める。 表情は真剣だった。 「何ですか?」 「……やっぱり、(結婚するまでは)やめたほうがいい……。 俺は以前、実際に彼女に手を出しているんだ……。」 過去、サマンオサの偽国王だったボストロールを退治する前、 想いを押さえきれず、アイリの気持ちを確かめずに、 一方的にキスしてしまった自分を思い出し、 アクシズは手元の鍵を見つめ項垂れた。 だが結局、アクシズはアイリと同部屋に泊まる羽目になる……。 |
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