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__滅びの町……。

勇者アイリは、地上界の地図を開き、
記憶の中から『それらしき場所』を辿る。

そして、彼女が選んだ場所は『地上界』の『テドン』の町。

魔王軍幹部キングによって滅ぼされし、死の町である。
移動手段であるが、不死鳥ラーミアは、ゾーマとの闘いの後、
『魔王の爪あと』の洞窟の『次元の狭間』から闇の世界へ飛んで行ってしまった……。
昼と夜で現場変化する、瞬間転移呪文『ルーラ』で行けない町であった為、
近場まで船で行く事になる。
町に着き、ディートは初めて見る凄惨な光景に、愕然となった。

「酷いですね……。」

白骨は片付けられ、墓が建てられているものの、
町は、相変わらず荒廃したままで、復興・再建の目途が立っていない。
崩れた民家の壁は、未だ消えぬ血の染み痕が、当時の様子を物語っていた。

パーティの中で一番背の低いスラリンが、道の向こうに『何か』を見つける。
彼は、勇者達が止めるのも聞かず、『十字架』のある方へピョンピョン跳ねて行く……!!

「あった……!!
 『魔獣の爪』だ……!!
 ボク、装備出来るよ♪」

スラリンの立ち止まった場所は、崩れた教会の下。
地盤沈下で斜めになっているが、確かに十字架が立っており、
その下には、魔獣を象った『爪』が置いてあった。

「スラリン。
 凄いわ♪」

愛らしく微笑むアイリに褒められ、スラリンは頬を染めて照れる。

つまり……。
『滅びの町』とは、『滅ぼされしテドンの町』であり、
『十字架』とは『教会の十字架』を意味する。

「第1問目は、簡単だったな。」

アクシズは腰に拳を当て、周辺を見回す。
一行は、次の問題の為に、
『ルーラ』詠唱で、一旦『ゼニスの城』に戻った。


やがて、日は沈み、夜になる。
テドンの町は、時間を巻き戻したように変化を遂げ、
浮かばれぬ魂達が、それぞれの生活を始めていた。
まるで、生きているかのように……。

未だ、彼らは自分達の死を気付かずに……。
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『DQ3』外伝CONTENTS