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「何と!? 竜の女王様のご子息(卵)が居なくなったと……!?」 賢者ディートから事の一部始終を聞き、智天使ケルビンは驚愕した。 今度は、勇者アイリが語り始める。 「それで、女王様の『卵』が、神竜様の所に在るのではと思って、 私達、確認しに来ただけなんです……。 別に、願いなんて、今のところ無いし、そこまでは知りませんでしたし……。」 彼女はチラリと視線を、勇者アクシズの方へ移した。 この話を聞いたケルビンは「とんでもない」と首を横に振る。 「『天界へ通ずる道』が『天界へ通じる洞窟』に変化しているのはご存知でしょう? それに、貴女の『ロト』の試練効果が、魔物達の大暴走のキッカケでもあるのです!! 神竜様が、許してくれるとでも思っているのですか……!?」 愕然となるアイリを優しく下がらせ、 アクシズは憤りを感じ、ケルビンに詰め寄った。 「な、何ですか!?」 「アイリは何も悪くない……!! 悪いのは『死の天使サムエル』達の方なんだ……!!」 「な、な、何と……!? 今の話は本当なのですか……!?」 今度は、逆にケルビンがアクシズに詰め寄ってくる。 狼狽し後退りしながらも、アクシズは頷いた。 「そ、そんな。 奴らが『謀反』を起こすなんて……。」 ケルビンは、場に蹲(うずくま)り両拳を握って震え出す。 「一体『彼等』に、何をしたのですか?」 「追放したのだ。 『堕天使』としてな……。」 ディートの問いに、意外にも冷酷な答えが返ってくる。 一同は驚愕し、声のする方へ向き直ると、ゼニス王が其処に立っていた。 「人間も天空人も同じように、 悪事をはたらいた者は、罰せられねばならぬ運命。」 堕天使とは、翼をもがれ、下界に追放されし天使(天空人)の事である。 下界に追放されるとは、人間として生きるということであり、 もちろん天空人としての寿命を失うことになる。 一同は、何も言えず、 その場に立ち尽くし、王の話を聞いていた……。 |
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