地上界。
レイアムランド。
『氷の洞窟』の一室で、エビル(バラモスエビル)は監禁されていた。

__……。

なるべく余計な体力を消耗せぬよう、静かに目を閉じ、動かない……。
ふと気配を感じ、彼は薄目を開けた。
<1>
「予定が変わった。
 お前には、直ぐにでも働いて貰わねばならぬ……。」

室内に入ってきたのは、首謀者サムエル。
しかし、どこか様子がおかしい……。
エビルは出来るだけ冷静を保ち、首謀者に尋ねる。
「『ロト』を連れてくるのに失敗したのか……?
 それはそうだろうな……。
 彼女は強い。」
「ああ。
 ……その力。おそらく『世界最強』であろう……。」

実際に目にして、はっきり解かる相手の実力。
意外なことに、死の天使サムエルが、勇者アイリの強さを素直に受け入れ頷いた。
エビルの額に冷や汗が流れる。

__一体、何を企んでいる……!?

口の端を噛み締め、相手の動向を静かに見守る。
緊張を走らせ警戒するエビルとは対照的に、
天界の謀反首謀者であるサムエルは、余裕の嘲笑を放った。
首謀者は語り始める。

「何故、『ロト』の魂を欲するのか、本当の意味を教えてやろう……。
 コレは、グランドラゴーン様から伺った話しなのだが、
 地下世界には『破壊神』が眠っているのをご存知か?」

「破壊……神だと……?」

驚愕するエビル。
しかし、彼の話はまだ続く。

「『邪神像』と『数多の生贄』を捧げることで、『破壊神』は復活すると言われている。
 破壊神復活には『ロト』が持つ『封印を解く力』が必要になるのだ……。」

おそらく、ここでは最後の質問になろう……。
全ての覚悟からエビルは、喉から搾り出すような声で問う。

「その、『破壊神』を封印した『神』は誰だ……?」

サムエルはエビルの額に手を翳した。

「地下世界の創造主、『精霊ルビス』だよ。」
次へ
この前の[SCENE_7]へ
『DQ3』外伝CONTENTS