「申し遅れました。
 我が名は、死の天使ミハエル。
 さあ、私は手強いですよ〜〜〜〜♪」

自ら正体を明かす。
ミハエルという死の天使。
自尊心も強いらしい……。
<1>
天界に通ずるダンジョン。
天界コロシアム会場。

長方形の会場内に立つ勇者達は、
数多の『物質』系の魔物達に完全包囲されていた。
『物質』系の魔物達は、あまり理知的ではない。
行動こそ単純なものの、タフネスでカバーするところがある。

「直ぐに済みますよ。
 可愛い、賢者さん♪」

ミハエルは、拒絶感から顔面蒼白になる賢者ディートに微笑みかける。

「いいでしょう……。
 僕が、指揮を執ります……!!」

顔を引きつらせると、賢者ディートは勇者2人を差し置いて、指揮権を自分に移す。
それもその筈、彼は、胸の内から沸き上がる『生理的嫌悪感』と格闘中なのだ。
勇者アクシズは嘆息すると、傍らの勇者アイリと互いに顔を見合わせ共に頷いた。

勇者達3人の装備は、『剣』。
だが、死の天使ミハエルの装備は『弓』。
相手は飛び道具故、距離的な差が生じる。

ミハエルにより召還された『天の門番』が、
戦開始の銅鑼を鳴らすかの如く、自らの胸を叩きながら咆哮を上げた!!

__来る……!!

勇者アクシズは、勇者アイリの前に立ち、『ガイアの剣』を握りなおす。
スラリン(スライム)は黙って、アイリを見つめている。
その円らな瞳は、何故か潤んでいるようにも見える……。

天の門番は、地面に向かって拳を振り下ろした!!!!
拳は地に潜り、クレーターを作る。
再び穴を埋めるかの如く、舞い散った砂が戻ってくる。
しかし、今度はそのクレーターから、
マドハンドやブラッドハンド等の『ゾンビ』系モンスターが、
群れを成して現れた……!!!!

巨大な手が沢山並ぶと、流石の勇者達も、狼狽し後退りする。
ミハエルは、彼等に向かって嘲笑した。

「彼等は、『根っこ』から破壊してやらないと減りませんよ〜〜?
 もっとも、私も『幾つの根っこ』が存在するのか解かりませんけどね♪」
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