<4>
サムエル達が去った後、
無数のクレーターで凸凹だったコロシアム会場が、
自動的に整地され元の平らな地面に戻る。
勇者達は不思議な光景に呆然としていたが、
奥に階段を見つけ、更に上を目指し進んでいく。

たどり着いた先は、老人の部屋になっており、
大きな釜が、グツグツと音をたて煮立っている。
老人は、人懐っこそうな表情で、勇者達3人とスラリンを出迎えた。

「よくぞ来た。
 神竜様に会いに来たのじゃろ?
 その釜の湯を飲んでいかれよ。」

「それでは、お言葉に甘えて、頂きます……。」

言われるままに実行したディート。
しかし、湯の熱さで、舌を火傷してしまう!!
抗議しようと老人の方を向くが……。

老人はニコニコしながら。
「どうじゃ。熱かったじゃろ?」
と、当然の様に言った。

拍子抜け狼狽する一同。
天界の住人達の感覚がよく解からない。

「後ろのお嬢さん、顔色が悪いようじゃが、大丈夫かの……?」

老人に問われ、アクシズはアイリの方を振り返る。
確かに彼女の顔は蒼白で、息も荒かった……。

……と。
耐え切れなくなったのか、突然崩れるように、その場に倒れてしまった!!
アクシズは驚愕し、慌てて駆け寄る。

「……アイリ!!!!
 しっかりしろ!!」

抱き起こし揺するが、彼女の目は固く閉じられたままで、返事が無い。
ふと、アイリの首に視線を移すと、1本の傷跡が見えた。

「最近出来た傷では無いですね……。
 古傷が疼いたのでしょうか……。」

蒼白になったアイリの顔を覗き込み、ディートが治療にあたる。
勇者達は、しばらく老人の部屋で厄介になることにした。
次へ
前へ
『DQ3』外伝CONTENTS