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「う〜〜〜ん。 想像以上ですね……。」 __こんな筈では無かった……。 予想以上にレベルの高い勇者達3人(プラス1匹)に、ミハエルは唸った。 どうも計算が狂ったらしい。 本来なら、勇者アイリを捕らえて、連れて行く筈だったのだが、 アスラゾーマを倒したのは、彼女である。 平和呆けしているとはいえ勇者アイリに、1人で敵う筈が無かった。 これ以上の損失を避け、彼(彼女)は、 他の『物質』系モンスター達を退け、包囲を解く。 すると、魔物達は、全て地中に戻り、会場から姿を消した。 「手古ずっているようだな……。」 __……!? 馴染み深い声が聞こえ、彼(彼女)は後を振り返った。 いつの間に現れたのだろうか……。 首謀者サムエルが翼を広げ、後に浮いている。 計算が狂い、思い通りにいかないと思ったのは、サムエルも同じだったらしい。 「お前が『ロト』か……。」 言って、宙から地に降り立つ。 無数の羽が舞い、長いローブの裾が砂で汚れる。 構わず、首謀者は勇者アイリだけに視線を移す。 今まで感じた事の無い『冷たい殺気』に、アイリは緊張した。 サムエルの存在に気付いたアクシズが、アイリを庇って手前に立つ。 強さは、総力戦となった大魔王ゾーマ(アスラゾーマ)程では無いだろうが……。 だが、予想に反して、 彼は彼女に今までの非礼を詫びるように、その場に跪(ひざまず)く。 「私は、死の天使サムエル。 以後、宜しくお願いしたい……。」 「どうして、こんな酷い事をするの? 私達が何をしたっていうの……!?」 今までの事に憤りを感じ、アイリは首謀者を問い質した。 アクシズは彼女を制し、静かに諭す。 「魔族に、目の仇にされるのは理解できるが、 天空人の恨みを買うような真似をした覚えは無いんだ。 悪いが、帰ってもらえないか。 俺達はそんなことの為に、天界へ来たんじゃない。」 徐に立ち上がり、首謀者サムエルは勇者2人を見る。 天界の謀反の首謀者は、冷酷な口調で言葉を返す。 「エビルを攫(さら)ったのが、『我々』でも、無関係というのか?」 __!!!!? 勇者達3人は、驚愕する。 額に汗し、アクシズは苦笑した。 「……余裕だな……。 俺達は、大魔王を倒した英雄なんだぞ……!?」 「過去の事だ。平和呆けしたお前達など、取るに足らん。」 「言ってくれる……!!」 『ガイアの剣』を鞘から抜き放つアクシズを制し、 サムエルは無表情のままアイリに向き直った。 「機が熟した時、また来るとしよう。 まだまだ、成長してくれそうだからな。」 意味が解からず、キョトンとなる勇者アイリ。 踵を返し、去って行こうとする死の天使達を追って、アクシズが叫ぶ。 「待て!!!!」 しかし、彼等は去りながら霧の如く消えてしまう。 夢の中の出来事のように……。 |
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