<2>
「ディート。
 こいつは思ったより、厄介だぞ……!!!!」

『ガイアの剣』を振り下ろし、勇者アクシズは幼馴染に向かって叫んだ。
勇者アイリは、マドハンドを纏めて退治しようと爆発呪文『イオラ』を詠唱する。

単体なら何とも無い雑魚敵も、群れを成すと脅威になる。
迫り来る、マドハンドの大群とブラッドハンドの大群。
斬ろうが、薙ぎ払おうが、粉砕させようが、その数は減らない……!!
次々に、地面が隆起しては巨大な手の形になる!!

勇者アクシズは、地面に『ガイアの剣』を突き立て、マグマを呼んだ。
溶岩が流れ出しマドハンドの大群を飲み込んでいく。
その後、マグマに飲み込まれたマドハンドの復活は無かった。

目を見開き、その光景に驚愕する賢者ディート。
しかし、彼の頭の切り替えは、流石に早かった!!

__魔物固体ではなく、地中に攻撃すれば纏めて片付けられる……!!

次の行動を判断し、彼は叫んだ!!

「アクシズ!!
 アイリさん!!
 2人とも、『イオ系呪文』で地面を掘り起こして下さい!!!!」

勇者2人は頷くと、共に地面に向かって『イオラ』を詠唱する。
ディートも彼等と同様に、手を地面に翳し、呪文を詠唱した。

各自にプラズマが収束され、衝突を起こして大爆発が起きる……!!
地面が抉(えぐ)り取られて、巨大な球根が幾つも現れた!!

「き、気持ち悪〜〜い……!!」

何時の間に潜り込んでいたのだろうか……!?
有り得ない光景に、スラリンの表情が凍りつく。
コロシアム会場に埋まっていた、『マドハンド』と『ブラッドハンド』の巨大な球根。

文献によると、マドハンド(又はブラッドハンド、メタルハンド)達は、
仲間を呼ぶというよりは、自ら増殖するモンスターらしい。
彼等の増殖を止めるには、地中奥深く存在する球根を破壊せねばならない。

正体が判明すれば、攻撃対象もはっきりする。

勇者アイリは、懇親の力を込め電撃系最高呪文『ギガデイン』を詠唱した。
落雷時以上の電撃が、魔物の球根を焦がし、灰へと変化させていく……!!

彼女の攻撃に続き、勇者アクシズも火炎系最高呪文『ベギラゴン』を詠唱する。
帯状の炎が、マドハンドやブラッドハンドの根元を焼き焦がす。

スラリンも球根に向かって『灼熱の炎』を吐き、勇者達を援護した。

やがて、自らの本体を失った、マドハンド達やブラッドハンド達は、
枯れる様に消滅していった。

次へ
前へ
『DQ3』外伝CONTENTS