地上界。
極寒の地、『レイアムランド』。
過去に、不死鳥ラーミアが誕生した聖域でもある。
その内部には、魔界へと通ずる『氷の洞窟』があった……。
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「出発か?
 天使様も大変じゃの。」

門番モグルが、死の天使ミハエルに声を掛けた。
天使は、魔界の番人に男の声で、女性の様に言葉を返す。

「エビル(バラモスエビル)は、
 自分の『モンスターメダル』を持っていませんでした……。
 どうも、変だと思いまして……。」

普通の魔物ならば、そこまでしないだろう。
だが、エビルはバラモス族であり、魔王の血筋の者である。
一般的な野生の魔物と、一緒にしてはならない……。
ミハエルは、呟くように語り始める。

「これは、仮説として、私の独り言としてお聞き下さい。
 サムエルは魔物達を統制する為、エビルが欲しかったのだと思いますよ?
 何故なら、我々は天空人ゆえ、魔物を操るにも限界があります。」

「独り言の質問じゃて、聞こえたら答えてくれたら良い。
 『ロトの魂』も、魔物達の統制として使用するのか?」

番人モグルの『独り言』に、ミハエルは苦笑する。

「『ロトの魂』は未知数ですからね。
 それは、私にも解かりません。」

「ふ〜〜む、なるほど。
 ところで、エビルはグランドラゴーン様の言う事を、聞くと思うか?」

「解かりません。」

「サムエルの言う事を、聞くと思うか?」

「それも、解かりません。
 でも……。」

言って、ミハエルは細い目を開く。
その瞳は異常に冷たい。

「『ロトの魂』を人質にでも取れば、聞いてくれるのではないでしょうか?」

もちろん『ロトの魂』が、そんな生易しい用途で使われる訳が無い。
彼は翼を広げ、モグルを見つめ、冗談の様に微笑んだ。
だが、その笑顔は陶器の人形のように冷たい。
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