__しかし、あの天使さん。何しに来たのでしょうね……。 流石に不審に感じたのか、ディートは真面目な顔で首を傾げる。 死の天使ガブリウルが去った後、鳥系モンスターの大群との戦闘。 ……どうしても、『無意味な事』には思えないのだが? |
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『竜の女王の城』城内。 最奥の光射す床に、『天界への入り口』は存在した。 勇者アクシズは、勇者アイリを、その光の方へ促す。 考え事をしていた賢者ディートも、慌てて彼等の所へ駆け寄る。 「アイリ。 其処(そこ)に立ってみろ。」 アクシズに言われ、アイリは頷いた。 彼女の授かりし『ロト』の称号が、天界へと導いてくれる筈である。 「俺はエビルのおかげで、天界へ上ることが出来た……。 今、エビルは天界にいる。」 語りながらアクシズは、友の姿を思い浮かべる。 だが、彼は知らない。 友は今、死の天使サムエルの手中にあることを……。 勇者達3人は、同時に『光』の中に入る。 彼等の肉体は光の粒子の中へ消え、何も無い床が残る。 「おたっしゃで〜〜〜♪」 彼等の旅立ちを見守っていた、お喋りホビットが、大袈裟に手を振る。 だが既に、彼の声は届いていない……。 転送までの時間がかかったものの、 勇者達は、天界へと通じる場所へ到着した。 浮島に足を踏み入れ、アクシズはその光景に驚愕する。 一方、アイリは以前『何処かで見た光景』に愕然となる。 「こんなだったか!?」 「精霊の夢の景色!?」 両者同時に口に出した為、傍目からは何を言ってるのだか解からない。 賢者ディートは狼狽し、2人の間に入って大袈裟に手を振る。 「同時に語ったら、何を言ってるのか解かりませんよ!! 1人ずつ、お願いします……!! はい。アイリさんから。」 いきなり振られ、アイリは狼狽したが、気を取り直し話始める。 「え〜〜とね。 夢の中に出てきた光景に良く似ているの……。 雰囲気というか、この空気というか……。」 「解かりました。 次、アクシズ!!」 ディートは強引に仕切る。 気分を害しているであろう幼馴染の姿に、アクシズは嘆息した。 「以前来た時には、こんな『ダンジョン』無かったんだよ……。 一方通行だったというか……。」 『ダンジョン化』してしまった『天界へ通ずる道』を目にし、 勇者達は顔を見合わせる。 だが、ココで引き返す訳にもいかないのだった。 |
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