<6>
「……オルテガは、『ロト』じゃない……。」

アズライルは、首謀者サムエルに、見たままを報告する。
無表情に首謀者は頷く。

「では、残り『2人』のうち、
 どちらかが『ロト』だというのだな……。」

ミハエルが、彼等の目の前に立ち、
額に手を当て、『見えない何か』を感じ取るような仕草をする。

「今、彼等の『魂』は、天界に向かったようですね。
 そのうち1人は、生娘でしょうか……?
 かなり『美しい魂』を持っていますよ♪」

だが、両性具有の為、女性に興味が沸く筈が無い。
相変わらず、男か女か、はっきりしないミハエルに、
鳥肌が立ちつつ、エビルの所から戻ったガブリウルは項垂れた。
彼女の姿を見とめ、サムエルが無表情で話し掛けて来る……。

「エビルは起きたか?」
「ええ。
 ものすご〜〜く、元気だったわよ!?
 相変わらず、堅物っぷりは直ってないけどね……!!」

エビルの態度が、むしゃくしゃするのか、ガブリウルの不機嫌は直らない。
彼等のやり取りを見ていたミハエルは、
徐に立ち上がって首謀者の方を向く。

「私が、その『魂』を取ってきましょうか?
 『ロト』でなくとも『美しい魂』なら、十分価値があります。」

「出来るか?」

「『勇者の魂』は分かり易いですから、
 位置の特定は簡単ですよ♪
 それに、私も退屈していたんです。」

そう言って、ミハエルは自分の『弓』を装備した。

サムエルが、やっと表情を変える。
それは、氷の様に冷たい微笑だった……。


一方、天界では……。

天界へ通じるダンジョンを下りながら、
スラリン(スライム)は、孤独な戦闘を続けていた。
何故か、彼の『口』は『閉じられたまま』である。

__早く、早く、アクシズ達に、届けないと……!!

ぴょんぴょん飛び跳ね、スラリンは洞窟の階段を下りて行く……!!
だが、彼は口を開かない。

それも、その筈。
彼の口を塞いでいる物は、エビルの持つ、『モンスターメダル』であった。
この次の[SCENE_6]へ
前へ
『DQ3』外伝CONTENTS