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地上界。
レイアムランドに位置する『氷の洞窟』最奥部。

目を覚ましたエビル(バラモスエビル)は、周囲を見回す。
洞窟内部は氷で覆われており、彼の息を白く染める。
手を動かそうとする。

がちゃん……!!

鎖の音が鳴る。
エビルは驚愕した。
視線を音の方へやると、両手首に枷(かせ)が付けられており、
鎖が天井の方に取り付けられている。
ふと、足元に目をやる。
同じように枷が付いており、床に鎖が繋げられている。

__私は、捕まったようだな……。

天界で謀反を起こそうと、今回の騒動を引き起こした張本人。
死を司る天使であり、謀反の首謀者であるサムエルの姿が、脳裏を過ぎる。

エビルは、深呼吸すると、腹の底に力を溜めた。
思いっきり、鎖を引く!!
だが、鎖はびくともせず、空しい音だけが洞窟内に響く。

「五月蝿いわね〜〜。
 静かにしなさい……!!」

エビルが暴れている音が、耳障りだったらしい。
ガブリウルが不機嫌そうに室内に入ってきた。

「その鎖はね。
 『オリハルコン』の次に硬い鉱物。
 『ブルーメタル』で出来ているのよ……!!
 いいかげんに、諦めたらどう?」

彼女の言葉に、エビルはそっぽを向いた。
その行動が、彼女を更に苛付かせる。

「元々、あたしは、あんたみたいな『堅物』大の苦手なのよ!!
 サムエルも何考えてんのかしら……!!」

ガブリウルは嘆息し、項垂れた。
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『DQ3』外伝CONTENTS