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勇者アイリは、自分の額に人差し指を当て、考えに耽る。 そして、1つの結論に達した。 「そうだわ……。 コレは、私の『夢』の中なのね……。 だから全て、私の『経験の中』の光景が現れるのだわ……。」 性格『ロマンチスト』の所為なのか、 相変わらず、不思議な事を言う勇者アイリに、 勇者アクシズと、賢者ディートは狼狽した。 「じゃあ、俺達がココに居るのは、どう説明するんだ?」 アクシズに問われ、アイリは答える。 「だから、『夢』が『具現化』しているのよ。 『私のロトの称号』を使って、ココに来ているのだから。 『私の中の世界』になっていても、おかしくない筈よ?」 つまり、『神に試されている』と、彼女は言いたいらしかった。 ……元々、天界は『神』の住む世界である。 それなりの『試練』があっても不思議ではない……。 だが、実はこの『ダンジョン化現象』には、 もっと別の意味があることを、彼女達は知らない。 本当は現実主義なのだが、賢者ディートは勇者アイリの言葉を鵜呑みにし、 腕組しながら何度も頷いた。 「ルビス様とか、神竜様だとか、もう、神話が神話で無くなってますので、 いいかげんに信じざる得ないですよね……。」 要するに、普段目にしない『未確認飛行物体』や『霊』等を信じていなくても、 実際に肉眼で見てしまったら、幻覚でもない限り、 信じざる得ない心理と同じなのである。 アクシズは、ディートの言葉に呆れ、嘆息した。 彼も実際に『精霊神ルビス』を、この目で見ているし、 『ゼニス王』や『竜の女王』と面識がある。 童話の様な世界も、アクシズから見れば全て現実だった。 勇者達3人は、互いに助け合いながら、 着実に上を目指し、ダンジョンを上っていく。 ふと、アイリは立ち止まり周囲を見回す。 この階層は、特に『見覚え』があった。 |
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