『光の玉』によって、制御された地下世界。 大魔王ゾーマの呪縛から解き放たれた、アレフガルド大陸。 勇者アイリの仲間、商人ミーナは、 吟遊詩人ガライやミニモン(ミニデーモン)と共に、 町作りに励んでいた。 |
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「ガライはんって、色白やな〜〜。 ほんまに、男にしとくの惜しい位、キレイやわ……。」 光に照らされて初めて解かる、アレフガルドの住民の肌色。 ミーナは、容姿端麗なガライを見て、素直な感想を述べる。 彼は苦笑して、答えた。 「……ははは。 ミーナさん、有難うございます。」 ミーナは周囲を見回し、首を傾げた。 「そういえば、グレイはんは、何処行きはったん?」 「それがですね〜〜……。」 頭を掻きながら、ガライが『グレイのその後』を解説し始めた。 「失恋のショックで、立ち直れてないというか……。」 「そうやなぁ。 グレイはん、かな〜り、アイリに惚れてたんやもん。」 だが、そのアイリが愛しているのは、アクシズだけだ。 他の者がどんなに頑張っても、行き着けない世界が其処にある。 グレイはソレを理解してはいるものの、『負けず嫌い』な性格から、 未だに彼女を諦めきれないでいた……。 2人は項垂れ、大きくため息をついた。 周囲では、ガライを慕って集まった人々が、開拓作業に励んでいる。 商人ミーナは腕を組み、考え事をするように俯く。 「どうしたんですか?」 問うてくるガライに、ミーナが思考の内容を言葉にして返す。 「建設に携わる人間が足りないっちゅうか……、 今一、作業効率が上がらへん……。」 __これは、一度『地上界』に戻って、現場監督を呼ぶ必要があるな〜〜。 スー開拓村の件でお世話になった専任の現場監督を思い出し、 ミーナは納得して頷いた。 一方、ガライは吟遊詩人ゆえ、 解からないのか不思議そうに彼女を見つめている。 「ウチ、一旦、地上界へ戻るわ。」 笑顔になり、ミーナは言った。 驚愕するガライに、彼女は更に続ける。 「大丈夫やって、直ぐにココに戻ってくるから♪」 「……でも。」 彼は狼狽したが、決断の早い商人の言うことだ。 ミーナは、さっさと道具袋から『キメラの翼』を取り出し、 天へ向かって放り投げた。 彼女の足元に、瞬間転移呪文『ルーラ』と同じ魔法陣が描かれ、 その身が転送される。 「ミーナさん!!!!」 叫ぶが時既に遅し、ミーナは地上界に戻ってしまった。 ガライは、無意識に差し出していた手を元に戻し、嘆息する。 「何だ。彼女(ミーナ)に逃げられたのか?」 気が付けば、彼の後にグレイが立っている。 ガライは彼に向き直り、首を横に振った。 「違いますよ。 直ぐに戻ってくるって言ってましたから。」 「喋らなければ、『いい女』なんだけどな。」 グレイが面白そうに笑みを浮かべ、ガライに視線を移す。 すると彼は、赤面して俯いてしまった。 だが、彼女の転送された場所は、意外な所だった。 |
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