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__どうしよう……。帰ったらサムエルに怒られるかな〜〜〜。 あいつ怒ったら、怖いんだよな……。 死の天使ガブリウルは嘆息した。 勇者達は、自分の魔物達に任せて来たのだが、 『売り言葉』に『買い言葉』で、アイリに自分の正体をバラしてしまった。 鳳凰の背に乗り、レイアムランド目指して飛ぶ。 ……と、彼女は一番大事な事を思い出す。 __勇者『ロト』の件、すっかり忘れてた……!!? 狼狽し、あたふたしている間に、 無情にも鳳凰はレイアムランドに彼女を送りつけてしまった。 ガブリウルは項垂れ、大きなため息をつく。 『氷の洞窟』前。 一旦、深呼吸をし、気持ちを落ち着かせていると、 番人モグルに見つかった。 『モグル』は、一見タダの老人のようにも見えるが、 魔界に通ずる『氷の洞窟』を番しており、 モンスターメダルを集めるのが趣味だという。 ちなみに、彼には『オグル』という、双子の兄がおり、 同じく『氷の洞窟』の番人をしている。 「相変わらず、嬢ちゃんは、そそっかしいのお……。」 「黙っててよ。 それより、サムエルはもう戻ってるの?」 「うむ。 巨大なモンスターを連れてな。」 モグルの言葉に、ガブリウルは驚愕した。 __サムエルの奴、あの堅物を仲間にしたの……!!? 先程まで、首謀者サムエルを恐れていた自分を忘れ、 ガブリウルは、慌てて『氷の洞窟』最深部へ駆け出していた。 部屋に入り、彼女は、足を止める。 「よお。 遅かったな。」 アズライルが、ガブリウルに話しかける。 首謀者サムエルと、ミハエルも、彼女に注目した。 「それで、『エビル』は……?」 問うと、サムエルは奥の部屋へ彼女を通した。 エビル(バラモスエビル)は両手首、両足首を鎖で繋がれており、 気を失っているものの、外傷は無い。 「少々、手荒な真似をすることになったのだが、 これで、逃げられまい。 じっくり時間をかけ、交渉出来る。」 言ってサムエルは冷たく微笑した。 他の死の天使3人は、この冷酷な首謀者に恐怖を覚えたが、 皆、顔と声には出さなかった……。 |
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