<5>
「おお、怖い顔。
 可愛い顔に、シワが出来ちゃうわよ!?」

天使に言われ、勇者アイリは背中の『王者の剣』を鞘から抜き、身構える。
表情は怒りに満ち、オーラは消えない。

「私は、アイリ。
 さあ、名乗ったわよ!!
 貴女は!!?」

「ガブリウル。
 死を司る天使よ。
 アイリ、宜しくね……♪」

死の天使ガブリウルが、床に向かって鞭を振るうと、天界の魔物『鳳凰』が現れた。
アイリは驚愕したが、直ぐに体勢を整える。

__いきなり『覚醒』してるのか?

勇者アクシズは、勇者アイリを見て唖然としているが、
賢者ディートは「やれやれ……」と肩を竦(すく)めて呆れている。

「エルマが以前言っていた通り、
 全然、自覚無いですよね。
 アクシズって……。」
「何がだ?」
「まあ、とにかく。
 『女の闘い』が怖いことだけは、肝に銘じて下さいね……。」
「?」

相変わらず鈍感なアクシズに、ディートは嘆息した。

ガブリウルの連れてきた魔物『鳳凰』が甲高い声で鳴き始める。
不審に思ったアクシズとディートが、窓の外に視線を移す。
すると、地上界に存在する様々な鳥系モンスターが、
『竜の女王の城』目掛けてやってくるではないか……!!?

「悪いけど、今は、あんたと遊んでる場合じゃないの。
 あんたの相手は、この子達が代わりにするわ。」

ガブリウルは、アイリに向かって嘲笑した。
次へ
前へ
『DQ3』外伝CONTENTS