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地上界、『竜の女王の城』。

勇者アクシズと勇者アイリは、
賢者ディートをパーティに加え、再び城へ戻る。
だが、ディートがただの人間だということで、
快く思わない者もいた。
あの、お喋りホビットである。

「駄目じゃないですか〜〜。
 人間を連れてくるなんて、何を考えているんですか!?」

アクシズは面倒くさそうに嘆息すると、
ホビットを無視して、ディートに話し掛ける。

「ココから、『上』にどうしても『ルーラ』が出来ない。
 お前は、『地形が変化している』と説明したよな……。」
若き勇者の問いに、賢者は頷く。
「そうですね。
 『ルーラ』失敗原因を、普通に考えた場合、
 『記憶違い』又は『忘却』、
 『現場の著しい変化』が上げられます。
 僕は、『消去法』で原因を突き止めただけです。」

「どうやって、上に行くの?」
アイリが2人に素朴な疑問を投げかける。
答えたのはアクシズだ。

「神が認めし『称号』を与えられた者だけが、
 光に導かれ、天界へ導かれるようになっている。
 幸いアイリも称号を貰った後だから、
 1人でも天界へ行く事が可能だ。」

「仲間達はどうするの?」

「天界へ着いてから、『ルーラ』で連れてきた方がいい。
 皆、多分、仕事中だからな……。」
彼の言葉に、ディートが反応する。
「僕だって、『仕事中』でしたよ?」
「お前の場合は大丈夫だろ。
 賢者だし。」
「賢者だって『人間』なんです!!」
「勇者も『人間』だぞ。」

落ち着いて話すアクシズと対照的に、
ディートは今にも泣き出しそうな顔で、狼狽している。

……と。
突如、城内でエルフの悲鳴が上がる。
勇者達3人は反応し、互いに顔を見合わせると、
弾かれるように声のする方へ駆け出した。
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『DQ3』外伝CONTENTS