大魔王ゾーマが倒れ、間も無く天界に異変が起こる。

消えた竜の女王の『卵』。
天界に通ずる道は、ダンジョン化。

その影響は、地上界にも変化を齎(もたら)し、
人間界を再び混乱の渦に陥れていた。
<1>
地上界。
南の大陸の首都、アリアハン。

「魔物討伐依頼……ですか。」

アリアハン城、『謁見の間』。
勇者オルテガは、国王から直接命令を受け、
断る理由も無かったので引き受けた。
しかし……。
謁見の間を出たオルテガは、思わず嘆息する。

彼は元々、アリアハン所属の勇者だ。
オルテガの娘・アイリも同じく、国所属の勇者であったが、
不在の為、彼が呼ばれることになったのだ。

__そろそろ、『勇者』引退を考えていたのだが……。

視線を天に移し、勇者オルテガは困ったような顔をした。
別に、娘が『自分を超えた』から、そう決意したのではない。
『潮時』を見計らって自分なりに下した判断だった。
だが、世間は彼を放っておかないらしい……。

丁度、城内を通り掛かったリオは、
オルテガの姿を見つけ、声を掛ける。
娘の幼馴染の姿を見とめ、彼は足を止めた。

「オルテガ様。
 王様から、何を言われていたんですの?」
「魔物討伐依頼だ……。
 私は中々、引退させてもらえないらしい……。」

オルテガは苦笑する。
リオは問う。

「丁度、私も暇してたのですわ♪
 一緒に行っていいですか?」
「行ってもいいが、皆に叱られないか?
 君は確かに、娘の友達でゾーマ討伐完遂の英雄だが、エクル大臣の孫娘だ。」
「そんなもの、等の昔に慣れてますわ……!!」

確かに、国内にて『これ以上の助っ人』は存在しないであろうが……。
リオの質問は更に続く。

「ところで、何の系統の『魔物討伐』ですの?」

「『エレメント系』だ。」

「エレメント……って、『幽体』モンスター……!!?
 アリアハン地方に出現するなんて、『変』ですわ!!」

驚愕するリオに、オルテガは感心する。
そして、少女に向かって、力強く微笑んだ。

「さすがリオ君は、『僧侶』だな。
 そこまで解かってるんなら、私も指揮を執りやすい。」
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