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地上界。 レイアムランドに位置する『氷の洞窟』最深部。 「あ〜〜、暇で嫌になっちゃう……!!」 お気に入りの鳥系モンスター『鳳凰』を従え、 『死の天使ガブリウル』は焦れて文句を言う。 彼女は元々、『黄泉の国の番人』であったものの、 行動の残忍さから堕天使候補に挙がっていた天空人の1人である。 首謀者サムエルと、死の天使アズライルが不在の為、 洞窟内には死の天使ミハエルと、死の天使ガブリウルの2人だけだった。 「たまには、天界で散歩してくるのもいいんじゃないですか? きっと眺めは最高ですよ♪」 ミハエルが、男の声で女らしく言う。 彼(彼女)は、両性具有の為、どっちつかずの性別だった。 おてんばな性格のガブリウルは、彼の意見に耳を傾けながら、 人差し指を顎に当てて天を見上げた。 「それも、そうね。 サムエルが天界の『空間』を歪めちゃったらしいし、 最高っていうのは確かよね♪」 だが、そのサムエルは今、 天界コロシアムでエビル相手に交渉を続けている筈である。 もっとも、エビルが彼の意見に合意する事は、決して無いと思われるのだが……。 __サムエルにばれると厄介よね……。 アイツ、本当に人形みたいに冷酷だし……。 だが、ガブリウルは、無邪気に思考を転換させる。 小悪魔の如く、口の端を上げて、彼女は微笑んだ。 腰のベルトに、愛用の鞭を巻き直し、万が一に備える。 __ばれなきゃ、いっか!? 「何処行くんです?」 「内緒♪」 ミハエルの質問に、元気よく返事すると、 彼女は翼を広げ、勢い良く洞窟を出る。 __取り敢えず、『卵』の無くなった『あの城』の様子が気になってたのよね……。 行き先は『竜の女王の城』。 そして、死の天使である彼女の『お遊び』とは、 生ける者の『魂』を奪うことであった。 |
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