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「天界に行くのじゃろ?」 静かに問う大神官バサラに、勇者アクシズは驚愕する。 そして、バサラは麻袋を差し出した。 アクシズが麻袋を受け取る。 それはズッシリ重く、中でジャラジャラと金属の擦れる音がする。 膝を立てて屈むと、彼は一旦、床に袋を置いた。 紐を解き、袋の口を開けて中身を覗く。 すると、大量のメダルが確認できた。 メダルには、各モンスターの絵柄が描かれ、 『金』・『銀』・『銅』三種揃っているものもある。 アイリも袋の中を覗くと、 気に入った絵柄のメダルを手にとって眺めた。 「可愛い……。コレ、何ですか?」 彼女が持っているメダルには、スライムの絵柄が描かれている。 大神官バサラは、勇者2人に向き直ると、にこやかに答えた。 「『モンスターメダル』じゃよ。 もちろん、全て揃っているわけではないがの。 大量発生型の魔物達を討伐した時、稀(まれ)に持っていることがある。」 「じゃあ、コレは今までの俺の戦利品ですね。」 アクシズの言葉に、バサラは頷いた。 「うむ。 こうして『モンスターメダル』が大量に貯まっているのを見ると、 アクシズも歴戦の勇者だと解かる。 ひょっとすると、お前の持っていないメダルを、 オルテガ殿が持っている可能性もある。 エビル(バラモスエビル)からは、直接貰った方が良いじゃろう。」 「これが、一体何の役に立つのですか?」 アイリの問いに、大神官バサラは目を閉じ、首を横に振った。 「それは、ワシにも解からぬ。 じゃが、ワシとて賢者としての『勘』は持ち合わせているつもりじゃ。」 大量の『モンスターメダル』が入った麻袋の口を紐で再び閉じ、 アクシズは自分の道具袋に入れると立ち上がって、バサラに礼を言った。 「ありがとうございます。 大神官バサラ。 きっと、何かの役に立ててみせます。」 「うむ。頑張るのじゃぞ、アクシズ。 可愛い、『彼女』の為にもな。」 大神官バサラに言われ、アイリは恥らって俯く。 狼狽する勇者2人を見つめ、彼は面白そうに笑った。 モンスターメダルで揃っていないのは、 天界と魔界のモンスターのみであろう。 だが、今の2人には『竜の女王の卵』を探す事が先であった。 |
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