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アリアハン大陸、北西地方。 『いざないの洞窟』周辺。 『エレメント』系の魔物達に、『物理攻撃』は効果が無い。 呪文攻撃専門の僧侶リオを仲間に加え、勇者オルテガは戦闘態勢に入る。 「リオ君。 君は、『浮かばれぬ魂』が見えるな……?」 オルテガに問われ、リオは鋭く頷いた。 「はい……!! だから、私、僧侶の道を選んだのですわ……。」 元々、『霊感』が人一倍強かったリオは、聖職者の道をとる必要があった。 それは同時に、戦闘に役立つ以外に、『自分の身を守る為』でもある。 実際には彼女のような能力を持たない『僧侶』もいる為、 リオはアリアハン国内で重宝される存在であったようだ。 リオは瞳を閉じ、全神経を研ぎ澄ます……。 森林が囲む、底無しの沼地。 無数のホロゴーストが、ひしめきあっているのが見える。 この系統の魔物がアリアハンに出現するとは、珍しい。 数は……合計して、およそ100体……!! 「沼地を中央にして、左の方向に約30体。 真っ直ぐの位置に、約60体。 右に12体、確認出来ましたわ……。」 声を殺し、囁くように勇者オルテガに告げる。 歴戦の勇者は、僧侶に問いかけた。 「奴らの『巣』は確認出来たか?」 ……だが、彼女は黙って首を横に振る。 「そうか……。」 オルテガは嘆息すると、『雷神の剣』を鞘から抜き、身構えた。 リオも『復活の杖』を両手で握り締め、詠唱の構えを取る。 「オルテガ様、指示を!!」 「うむ。」 久々の戦闘である。 雑魚モンスターとはいえ、身体が鈍(なま)っていると命取りだ。 肩を回しながら、勇者オルテガは前方を見据えた。 ……と。 __……? 上空に人影が見えた気がして、彼は視線を空へ移したが、 空には誰も居らず、オルテガは首を傾げる。 「オルテガ様……!!?」 勇者の指示を待っていたリオが焦れて急かす。 オルテガは気を取り直すと、リオと共に前方の約60体の魔物達に向かって、 真空呪文『バギクロス』を詠唱した……!! 人為的に発生した大量の竜巻に森林が薙ぎ倒され、 隠れる必要の無くなった左右のホロゴースト達が、 沼地中央に向かって移動する。 勇者の指示通り、リオが、中央に向かって懇親の力を込め、 昇天呪文『ニフラム』を詠唱すると、ホロゴースト達の魂は消滅した。 |
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