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地上界。 ダーマ神殿。 勇者達は、竜の女王の『卵』を探す旅に出る決意をする。 旅支度を済ませた勇者アクシズは、さっそく天界へ移動しようと、 瞬間転移呪文『ルーラ』詠唱を試みる。 ……が。 「……どうしたの?」 心配そうに、勇者アイリは、アクシズの顔を覗き込んだ。 しかし、彼は信じられないものでも見るかのように、 大地を見つめ、呆然と佇んでいる。 確かに『ルーラ』による魔方陣は足元に発生したが、 何故か天界へ向かって転移しない。 「おかしい……。 『竜の女王の城』から、上に『ルーラ』出来ない……!!」 試しに、何度も地形を『記憶の中から正確に思い出し』、 『ルーラ』詠唱を続けるが、やはり結果は同じだった。 その時、賢者ディートが、1つの仮説を立てた。 「『天界の地形が大きく変更されている』可能性がありますね。 記憶と地形が一致しないと、『ルーラ』って効果ありませんから……。」 かつて地下世界に生存していた勇者オルテガが、記憶を奪われ、 地上界に『ルーラ』出来なかった事実を思い出し、アクシズは愕然となる。 アイリは深刻な表情で、ディートに向き直る。 「もしかして……。 奪われた女王様の『卵』と関係あるのかしら……。」 「無関係とは言い切れません。 実際、ここまで頑(かたく)なに拒まれると、 かえって怪しいというか、気が付かない方が変というか……。」 アクシズは、皮手袋の端を引っ張り、唇を噛んだ。 「アイリ。 ……『夢の精霊』は他に何か言ってなかったか……?」 彼女は首を横に振る。 「『竜の女王の城』へ向かいなさい……としか。」 「それだ……!! 精霊が言っていたのは、『このこと』だったんだ。」 彼の口から『精霊の言葉』の真の意味を理解し、アイリは驚愕する。 つまり、『竜の女王の城』から、『直接ダンジョンに入ること』を言っていたのだ。 幸い、彼女も『ロト』の称号を得ている為、 天界通じる光に導かれることが可能となっている。 「アクシズ。 ゾーマを倒して終わりじゃ無かったんですね……。」 ディートが嘆息する。 「ああ。 『卵』も探さなければいけないし、『天界』の異変原因も突き止めないと……。 勇者の仕事も尽きないな……。」 と、アクシズ。 「……私の『お嫁さん』の夢が……。」 アイリも俯き、瞳を潤ませる。 というわけで、3人は同時に項垂れ、大きくため息をついた。 彼等を待ち受ける、『試練』の意味も知らずに……。 |
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