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「天界に何をした……!!?」 強く問い質すエビルに、死の天使サムエルは冷たく微笑する。 「下賎な者を、これ以上、天界に上げぬようにしたまでだ。 奴らは、勝手に下界で我々を崇拝していれば良い。」 「その驕(おご)りが、ゼニス王の怒りに触れたのではないのか……?」 「ゼニス王は何も解かっていない。 弱き者を助ける意味が何処にある? エビル。お前も変わっている。 魔王としての血を、どうして有効に活用しない?」 平然と不思議そうに問うサムエルの姿は、下界にある絵画の如く優雅であったが、 逆にそれが恐怖を誘う。 事実、彼は人間では無く、神の産物である。 __この天使……。狂っている……!! 拳を握り締め、エビルは天使を見据えた。 そして、傍らのスラリンに囁くような小声で、しかし、大事な事を告げた。 「……スラリン。 ココは、私が引き受けるから、お前は下界に降りろ……!!」 「……で、でも……。」 「……下界に下りたら、アクシズとアイリに応援を頼むのだ……。 狂った天使に対抗出来る者は、竜神くらいしかいない……。 何、大丈夫だ。 奴は私を欲しがっている。 悪いようにはしないだろう……。」 エビルに微笑まれ、スラリンの瞳が潤む。 ……と。 意を決したように、スラリンは、天界コロシアム下界側の出口に向かって走り始めた!! 彼の行動を見逃さず、死の天使サムエルは氷刃呪文『ヒャダイン』を詠唱した!! 翳された掌に氷球が現れ、無数の氷の刃となってスラリンを襲う。 気が付き振り向くものの、間に合わない……!! だが、視線の先には、彼の盾となって、氷刃を受け止めるエビルがいた。 「何を、やってる……!!!! 早く行け!!!!」 彼の行動を無駄にしてはならない……!! エビルを見上げる、スラリンの瞳に涙が浮かぶ。 しかし、振り切るように天界コロシアムを出ると、 下界に通ずるダンジョン内部に入っていった。 エビルはソレを確認すると、 全てを覚悟したかのようにサムエルに向かって微笑んだ。 |
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