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「僕にも行って欲しいですか?」
「当然!!」

アクシズに断言され、ディートは自分のデスクを見つめ、大きくため息をついた。
デスクは書類が山積みになっており、収集の付かない事態になっている。

「『賢者』って大変なのね。」
「いえ。アイリさん。
 それは『僕等だけ』だと思いますよ。
 他の『賢者』の皆さんは、こんな事する必要ありませんから……。」
アイリに感心されたのが逆に哀れさを誘い、
ディートは力なく項垂れた。
そのディートに、アクシズが更に追い討ちをかける。

「何だったらまた、大神官バサラに『貸し出し念書』貰ってきてやるが……。」
「アクシズ!!
 父上に『賄賂(わいろ)』使って僕を買収するのは、もうやめて下さい!!!!」
「今度は『戦闘無い』から大丈夫だって。」
「そういう問題じゃ無いでしょう!!!!」

幼馴染同士のやり取りが面白いのか、アイリの表情が緩んだ。
そして、思いついたように問う。

「ディートさん。
 リオも呼ぶ?」
「……え?
 え〜っと、その……。」
相変わらずシャイなのか、ディートは耳まで真っ赤になり狼狽した。
アクシズは嘆息し、彼の頭を小突く。

「……何するんですか!!!!」
「お前、アイリがせっかく気遣って言ってくれてるのに、無駄にする気か!?」
「アクシズ。
 ゾーマ倒してから、随分、性格丸くなりましたよね?」
「五月蝿い!!!!」
「何で、未だに『結婚してない』のですか?
 散々待たせる、そっちの方が、僕は酷いと思いますけど……。」
「……!!!!」

痛いところを突かれ、何も言えず、アクシズは狼狽した。
気が付けば、形勢逆転している。
彼等の会話を耳にし、アイリは苦笑した。

「取り敢えず、『賢者』に口で勝とうとした俺が馬鹿だったよ……。」
「別に、武器持って来られても、
 眠らせてしまえばいいだけですから、気にしなくていいですよ♪」
「お前、本当に物怖じしなくなったな……。」

ディートの明るい発言に狼狽し、アクシズは嘆息して項垂れた。
だが今は、遊んでいる場合ではなかった。
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『DQ3』外伝CONTENTS