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「え〜〜〜〜、とうとう、決定したんですの?」

勇者達が戻った先は、地上界のアリアハン。
アクシズがアイリの父・オルテガに正式に結婚すること告げる為だったのだが、
とんでもない所で、リオに見つかったのである。

エクランブール邸。
広い居間に呼ばれ、久しぶりにアイリはリオと語り合っていた。

「うん。
 結局、ゾーマの言う、未来の脅威の姿もはっきり見えてこないし。」
照れ隠しなのだろうが、素直に喜びを表現しない幼馴染に、リオは焦れた。
「あ〜〜〜、どうしてアイリって、いつもこうなんですの!?」
「何が?」
「嬉しいなら、嬉しいってはっきり言っていいんですのよ!?
 遠慮することないのですわよ!?」

リオに詰め寄られ、アイリは恥ずかしそうに俯く。
幼馴染の表情を確かめようと、リオは歩み寄り、下から覗き込み驚愕した。
アイリの瞳は不安に憂いていた……。

「……幸せ過ぎて、かえって不安なの……。」

__何故か、『胸騒ぎ』が止まらない……。

複雑な感覚だった。
望んでいたモノが手に入るのに、奪われそうな感覚。
もうすぐ幸せになれそうなのに、一歩届かない感覚が同時に押し寄せる。


__アイリ……。


彼女の頭の中に、別の女性の声が響いた。
……と。
突然、アイリの意識が途絶え、その場に倒れる形となる……!!

「アイリ……!?」

気を失ったまま動かない幼馴染の肩を揺すり、リオは愕然となった。

「しっかりして下さい!!
 アイリ……!!
 誰か、誰か来て……!!」

必死になって叫ぶリオの様子を不審に感じたのか、
家の者が集まってきた。

「一体、どうしちゃったんですの!?
 何で、アイリばかりこうなるんですの!?」

瞳に涙を浮かべ、リオは誰とも無く問いかけるが、答えは返ってこなかった。
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『DQ3』外伝CONTENTS