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「こんにちは。
 ガルレオさん。
 いらっしゃいますか?」

ルザミに住む、天文学者ガルレオの小屋。
扉の前に吊るされたベルを鳴らし、
アイリは声を掛けた。
扉が開き、痩せた男性が顔を出す。

「これは、アイリさん。
 お久し振りです。」

そして、彼女に向かって微笑んだ。
だが、次の瞬間。

__?

本能的な違和感に、アイリの表情が固まる。
警戒した彼女は、思わず隣に居たアクシズの袖を掴み、自分の方へ引き寄せる。
一瞬、アクシズは彼女を見つめたが、直ぐに視線をガルレオに戻した。

学者に注目したまま、一同は沈黙し、
止まったように動かない……。

「どうしました?」

重い沈黙の中、笑顔を崩さずガルレオが尋ねる。

「貴方は誰……?」

搾り出すような声で、アイリは『正体』を問うた。

「誰って、天文学者ガルレオですよ。」

「違う!!
 だって、貴方の気配は『人間のもの』じゃない……!!」

いきり立って叫ぶアイリに、学者の表情が冷たく変化する。
その時、スラリンが足元に散らばる『羽』を、皆の前に差し出した。

「もう、バレバレだよ?
 証拠も有るしね♪」

アクシズとディートも、沈黙し学者を見据えている。
学者の表情が、笑顔から嘲笑に変わる。
そして彼は、腰の道具袋から『賢者の石』を取り出すと、
チラチラ見せびらかす様に、勇者達の目の前に晒す。

一同は驚愕した。

それは紛れも無い、
智天使ケルビンの『問題の答え』となる道具だったからだ……!!

「お前達の『探し物』はコレだな?
 そして丁度、俺達の『探し者』も、目の前に在るって訳だ。」

姿だけはガルレオである者の背中が膨らみ、
羽を撒き散らし神々しい翼となる。

徐々に、学者の顔が、冷たい瞳をした男性の顔に戻る。

変身呪文『モシャス』が完全に解け、
元の姿に戻ると、
死の天使アズライルは嘲笑した。
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『DQ3』外伝CONTENTS