鳥が囀り、朝の時を告げる。
太陽が昇り、周囲を明るく染めていく……。

「やっと、アレフガルドに光が戻ったな……。」
アクシズは、アイリの肩を抱いたまま呟いた。
仲間達の表情も明るい。
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「何か、音がしませんか?」

ディートの言葉に、一同は空を見上げ、その光景に驚愕する。
エビルが叫んだ。

「『ギアガの大穴』が閉じる……!!」

空に開いた巨大な穴が、岩の擦れる音と共に閉じていく。
リオが心配そうな顔で、皆に問う。

「私達、帰れないんですの?」

その答を返し、ディートが賢者らしく語り出す。

「移動手段は、他にもありますよ。
 確か、『聖なる祠』にあった『旅の扉』が復活していると思います。
 これは、神官様から聞いた話なのですが、
 かつて、ゾーマが地下世界に来た『勇者を逃がさないようにする為』、
 アレフガルドの『旅の扉』を封印したらしいですからね。」

『旅の扉』とは、次元の歪みを利用した移動手段で、
ゾーマが『次元の狭間』を出現させたことで、
アレフガルド全域の『旅の扉』が狂い、使用不能になってしまったのだ。
ちなみに、数百年後に現れた別の魔王によって、再び使用不能にされてしまうが、
それはまた別の話である。

一同は、安堵のため息を漏らす。

「どうする?
 じゃあ、このまま地上界に戻るか?」
アクシズが問うが、アイリは急に思い出したように手を叩いた。
「そうだ!!
 父さんは、何処にいるの!?」
「確か、カンダタ達がラダトームに一旦連れて行くとか言ってたな。」

「じゃあ、先ずラダトームに行かなくちゃ!!
 ……どうしたの?
 皆。」

仲間達が、呆然としたままアイリに注目している。
やがて、クリスが口を開いた。

「いや。元気になって本当に良かったと……。」

彼女の発言に、仲間達の間で、ドッと笑いが起こる。

「それは、そうですわ!!
 だって、アイリの『愛する人』が生き返ったのですものね♪」
「アクシズの魂が吸収された時、
 アイリまで魂が抜けたみたいになっていたからな……。」
リオとエビルの言葉に、勇者2人の顔が赤くなる。
アイリが怒りながら、リオを追いかけまわす。
また、笑いが起こる。

アクシズは、エビルを見上げて問うた。

「エビル。
 お前は、どうするんだ?
 やっぱり、魔王バラモスの跡を継ぐのか?」

すると、エビルは俯き、首を横に振って否定する。

「一応、帝王学は学んでいるが、それでも私は『王の器』ではない……。
 それに、魔物の王など、最初からいない方が良いのだ。
 元々、魔物は自然と共存し、自由を欲する生き物だからな。」

「じゃあ、天界に戻るのか。」

「そういうことになるな。」

空は、明るく澄み渡り、彼等の表情を明るく映し出す……。
アクシズと、エビルは、お互い顔を見合わせ微笑んだ。
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