『勇者アイリ。 たかが人間が、神の力を持つのは自然に反するとは思わぬか?』 アスラゾーマは、『覚醒』した勇者アイリに語りかける。 徐に彼女に歩み寄り、正面で対峙する。 大魔王の巨体に見下ろされている華奢な少女。 だが、仲間達の瞳には『彼らは同等』に映った。 |
||
<1> | ||
「……。」 無言で睨みつける。 アイリのオーラが更に勢いを増し、風圧で埃が舞う……!! 仲間達は、巻き上がる埃を手で覆い避けながら、彼女等の動向を見守る。 __なるほど。隔世遺伝か……。 こんな『小娘』が、面白い……。 アスラゾーマは、微笑した。 地竜ヴァンベルトからの『隔世遺伝』。 『隔世遺伝』とは、親の持つ遺伝子より、 先祖の持つ遺伝子の影響が、孫の代で強く現れる現象である。 つまり彼女は、他の勇者達より、竜神の血が濃いことになる。 __ルビスも、面白い仕掛けを施したものだ。 アイリの誕生日は、アレフガルド暦に直すと、 『王(キング)の年』、『王の月』、『王の日』。 しかも、産まれた時間まで照らし合わせると、丁度『正午』になる。 自らが封印される前、『勇者』が隔世遺伝を起こす様に、 精霊ルビスが懇親の力を持って、仕向けたのであろう……。 生命操作は、神のなせる業。 決して人間が真似する事、不可能である。 勇者アイリは右手に『王者の剣』を握り締め、中段の構えを取る。 左手の『勇者の盾』を後に引き、戦闘態勢に入った。 「……な、何、皆様、ぼ〜っとしてるんですの!!? アイリを援護しますわよ!!!!」 仲間達は唖然としていたが、リオの一言で気を取り直すと、各自戦闘態勢に入った。 勇者達全員が、戦闘態勢に入ったのを確認すると、 アスラゾーマは、冷たく嘲笑した。 だが、先程までの『遊び』の表情ではない。 周囲に緊張感が迸(ほとばし)る!! 『では、[勇者の魂]争奪戦といこうか?』 アスラゾーマは、各腕を振り翳し、構えを取った。 |
||
■次へ ■この前の[STORY_21]へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |