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「ここは……?」 とある洞窟の中に投げ出された一行は、周囲を見回す。 しかし、クリスには見覚えがあった。 「ここは、確か『勇者の盾』が置いてあった場所だ。」 「ラーミア……。 ラーミアは何処に行ってしまったんですの!?」 リオが泣きそうな声で、ラーミアを必死に探す。 だが、闇の狭間に通じていた部屋は瓦礫の山と化し、 探すのも困難な状態だ。 そんな彼女をエビルが励ます。 「大丈夫。 不死鳥ラーミアは、異世界も行き来できると聞いた。 きっと、闇の世界にでも行ったのであろう……。」 「何処かで生きてますわよね?」 「ああ。『彼女』は不死鳥だ。きっと生きている。」 ラーミアを女性と呼び、エビルは頷いた。 一同は、洞窟の外へ出る。 周囲に砂漠が広がり、冷たい風が吹いている。 アレフガルドは相変わらず闇のままだった。 アクシズは、目を覚まさないアイリを抱かかえて、思わず嘆息する。 「アクシズ……。」 不意に、呼ばれてアクシズは腕の中のアイリに視線を移した。 自分を見つめる彼女の瞳が潤んでいる……。 腕を彼の首にまわし抱きついてきた。 彼女の瞳に涙が溢れ、彼の頬を濡らす。 「アイリ……。」 「お願い……。 ずっと……ずっと、私の傍にいて……。」 「ああ!! 離さない!! もう絶対、お前を離すものか……!!」 アイリを強く抱き締めながら、アクシズは固く誓う……!! その時、アイリの道具袋に入っていた『光の玉』が輝き始めた。 2人は身を離し、その光に魅入る。 やがて、仲間達も異変に気付き、光に注目した。 アイリは徐に『光の玉』を掲げる。 彼女の血に呼応し、光が増幅される。 光は周囲だけではなく、アレフガルド全域を照らす。 そして、全ての闇を払い、アレフガルドに数年振りの朝が戻った……。 |
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