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「やった!!!! 出口だ!!!!」 盗賊カンダタが、目の前に現れた光景に瞳を輝かせる。 アイリ達がアスラゾーマとの戦闘を続けている頃、 カンダタ達は『勇者オルテガ』の遺体を抱えながら、 『ゾーマの城』を、今にも脱出しようとしていた。 禍々しい装飾の大きい扉が見え、一同は安堵のため息を漏らす。 「アイリさんが闘っている時に……!!」 アイリに惚れているレジスタンスの若き長・グレイが、ぶつぶつ文句を言う。 『負けず嫌い』の彼には、好きな人を放っておいて逃げる事が許されないらしい。 「なあ? ガライ。」 吟遊詩人ガライに、同意を求めようと彼を見る。 だが、彼は『銀の竪琴』を抱えたまま沈黙し、 厳しい表情で出口とは反対の方を見つめていた。 首を傾げグレイが問うが、ガライの答えは緊迫したものだった。 「どうした?」 「……来ます!! 数多の浮かばれぬ『魂』が僕等目掛けて……!!」 一同は驚愕したが、遅かった!!!! 高速で現れた『魂』達は、メタモルフォーゼを繰り返し、 大口を開け嘲笑する深紅の霊となる……!! 唖然とし、一同は周囲を見回すが……!? 「もの凄い数や……。 全然、逃げ場無いで。」 真剣な表情で、商人ミーナが呟いた。 カンダタも嘆息する。 「『魔王の使い』ってとこか……。 まったく、見上げた忠誠心だな。」 「違うわよ!!!! 操られてんのよ!!!!」 反対意見を述べ、盗賊エルマが『グリンガムの鞭』を魔物達に振るう。 鞭は空を切り裂くように、彼等の体内を通過していく。 エレメント系の魔物には、物理攻撃が当たらないのだ。 「ガライ!!!! 『銀の竪琴』は……!!?」 グレイが叫ぶ。 しかし、ガライは項垂れ、首を横に振る。 「無駄です。 彼らは『生きている魔物』ではありません。 呪文攻撃でない限りは、絶対無理です。」 彼の言う事はもっともだ。 だが、呪文の得意な面々は、今、大魔王討伐に出払っている。 一行には、物理攻撃を得意とする者達しか揃っていない。 その時である。 「攻撃用意!!!!」 魔物達に完全包囲されている、扉の向こうで深い男の号令が聞こえる。 一同は驚愕し、声する方に注目した。 何と、ラダトーム軍が、『ゾーマ城』入り口周辺を囲っている!! 将軍は、カンダタ達に気がつくと、更に号令をかけた。 |
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