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『その前に……。』 アスラゾーマは嘲笑すると、彼方を見据えた。 勇者アイリは不審に感じ、彼の視線を追うと、 ソコには偵察用の空中映像が、カンダタ達の姿を映し出している。 彼女は驚愕して叫ぶ。 「何をするつもりなの!!!!?」 『なに、鼠を逃がさぬように仕掛けるだけだ。 彼等も大事な[糧]なのでね……。』 言ってアスラゾーマは口を開き、数多の魂達を解放させた。 ソレは、『大魔王の間』を抜け、エレメント系の魔物の形を取る……!! 彼等は壁や障害物をすり抜け、高速で城内出口に向かって移動する。 「……!!!!」 勇者アイリは、湧き上がる怒りに唇を噛み締めると、 『王者の剣』を薙ぎ払い、稲妻を呼んだ!!!! アスラゾーマも腕を翳し、地獄から雷(いかずち)を呼ぶ。 白い雷と、黒い雷が衝突する……!!!! 「……く。」 白い雷が押される。 アイリは懇親の力を込め、左手を『王者の剣』に向けて翳すと、 『ギガデイン』を詠唱した。 電撃が刃に纏わりつき、雷が放電を伴い音を立てて増幅される。 更に勢いを増した雷同士がぶつかり合い、空中で大爆発が起こる……!!!! 爆風に晒され、一同の身体が後方へ弾かれた!!!! しばらくして、皆、徐に立ち上がり、爆炎に目を凝らす。 やがて煙の中から、アスラゾーマの巨体が現れた。 傍目からは何も起こらなかった様に感じられ、一同震撼する。 だが……。 アスラゾーマは、徐に腕の一本をアイリの前に曝け出す。 ソレは醜く焼け爛れ、異臭を放っている……。 口の端を上げて嘲笑した。 だが、余裕ではない……。 『ワシの[ジゴスパーク]を回避するとは、恐れ入った……。 勇者アイリよ。 今までの非礼を詫びよう……。』 アスラゾーマが、手を合わせ目を閉じ『瞑想』を始める……。 彼の身体が青白く輝き始めた。 だが、攻撃しようにも、相変わらず『第3の目』は開いたままで、隙が無い。 何をしているのだろうか? アイリ達は、警戒し身構える。 しかし、次の瞬間、彼女達は自分達の目を疑う!!!! 負傷したアスラゾーマの腕の火傷が塞がり、綺麗に回復していく。 完治した腕を振り回す。 そのまま、勇者アイリを見下ろし、冷たく嘲笑した。 『アイリ。 お前の[勇者の魂]も、ワシのモノにしてやろう。』 |
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