地下世界アレフガルド。 中央に位置する『イシュタル島』。 そこには、『ゾーマの城』が在り、勇気ある者達が闘っている。 |
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アスラゾーマは、指揮を執る賢者ディートに視線を移した。 そして、彼に語りかける……。 深い声で……。 『無謀だな……。賢者君。 ワシはお前の友達を吸収したのだよ? そうだ……。 何も悲しむ必要は無い……。』 アスラゾーマは冷たく嘲笑する。 野望叶い、満足しているようにも感じられる。 ディートはいきり立って叫んだ。 以下、彼等の対話が続く。 「そんなの、やってみないと分からないじゃないですか……!!!! 負けるのを怖がっていたら、元々、僕達はココにいませんよ!!!!」 『勇敢だな……。 まるで君たちが[勇者]のようだよ……。』 「ええ。そうです。 人は誰だって、『勇者』になれます!!!! その気になれば、この世の生き物全員が『勇者』になれるんです!!!! 心の何処かに、少しでも『勇気』があるのならば、可能なのです……!!!!」 ディートは、自分の胸を指差し、強く宣言した。 アスラゾーマは彼の話が面白いのか高笑いを始めた。 『賢者君。 まったく、お前の[悟り]には理解に苦しむよ。 皆が[勇者]になれるだと? ふざけている。』 「わ、私のディート様を馬鹿にすると、許しませんわよ!!!! 最初から、何もせず、自分の手を汚さずやってきた貴方には理解できませんわ!!!!」 狼狽していた僧侶リオが、ディートを援護する様に勇気を振り絞る。 続いて、戦士クリスが静かに言葉を放つ……!! 「勘違いするな、アスラゾーマ。 私達の目的は、貴様に吸収された『仲間の魂』の解放だ。 貴様を倒す事ではない。」 「クリスの言うとおりだ。 私は、アクシズとオルテガの『魂』を返して欲しいだけだ。 そこにいる、アイリの為にもな……。」 エビル(バラモスエビル)は、放心したまま動かない勇者アイリに視線を移す。 ……彼女は、冷たくなったアクシズの亡骸を抱き締めて、俯いていた……。 エビルは嘆息する。 __これでは、どっちが『魂』が無いのか解からない……。 アスラゾーマに『魂』を吸収されたのは、勇者アクシズの方なのだが、 彼が見る限り、勇者アイリの方が『魂』が抜けてしまったようにも感じられる。 『じゃあ、戦闘を始めようか……? ワシから[勇者の魂]を取り戻したいのであろう!?』 言って、アスラゾーマは、自らの潜在能力を解放させる……!! 大魔王の周囲に、瘴気が立ち込める。 そして、彼は冷たく微笑した。 『なあに、お前達も逃がしはせんよ。 大事なワシの[糧]となるのだからな……。』 |
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