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仲間達が、次々倒れていく……。
だが、勇者アイリは動けなかった。

腕の中のアクシズの身体は、相変わらず冷たい。
抱き締めてくれた彼の身体は、いつも温かかった。
彼の胸の鼓動を聞けば、疲れた心が癒された。

だが……。
その鼓動は聞こえてこない。
いくら待っても、彼は、自分の名を呼んでくれない。
どうしようもない現実を受け入れ、彼女の頬を涙が伝う。

__……。

アイリは座ったまま、アクシズを硬く抱き締めた。
瞳を閉じ、冷たくなった彼の頬に、自分の頬を押し当てる。

__アイリ……。『私』に代われ……。

不意に、自分の心の中に別の声が聞こえ、アイリは目を見開く。

周囲に視線を移す。
しかし、誰もいない。


どくん……!!


突如、鼓動が高まる。
メルキドの『あの時』と同じく、身体の中で何かが目覚めている。

__お前が闘わぬのなら、『私』が闘ってやる……。

また、心の中に声が響き、支配されていく感覚が彼女を襲う。
アイリは、内なる声に必死に抵抗する。
すると、彼女の血に呼応するように、胸に掲げられた『聖なる守り』が輝き出した。

__嫌よ……。もう、自分が自分で無くなるのは嫌!!!!
   私は、私でいたいの!!!!
   アクシズが愛してくれた私のままで……!!

勇者アイリの身体から、放電が起こり、オーラが立ち上る!!
鼓動が収まり、彼女は顔を上げた。
表情は凛とし、瞳は射るようにアスラゾーマを見据えている。

ふと、自分の掌を見る。
自覚がある。
今度は、地竜ヴァンベルトに支配されていない。
アイリは大切な者を扱うように、アクシズの亡骸を安全な場所に移動させる。

「今まで、ずっと貴方に甘えてきたんだもの……。
 今度は、私が『貴方を助ける番』よね……?」

アイリは『覚醒』したままの状態で徐に顔を近づけると、
アクシズの唇に自分の唇を押し当てた。

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『DQ3』外伝CONTENTS