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『ゾーマ城』全体が揺れる。 各階の天井から砂が降ってくる。 城内にいた者達は、そのただならぬエネルギーに震撼する。 そして……。 かろうじて体力のあったエビルが、 身を起こし、周囲を見回す。 同じく、クリスも体力があったのか、首を振って起き上がる。 爆煙が、床を地獄絵図の如く紅く染める……。 埃と煙の中。 立っているのはアスラゾーマの巨体。 離れた所にいたアイリと、アクシズの遺体は無事だ。 だが……。 「ディート様!!!! しっかりして下さい!!!!」 リオが、ディートの身体を抱きかかえ泣き叫んでいる。 爆発の中心となった彼の上半身は、醜く焼け爛れている。 彼の防具が『神秘の鎧』でなければ即死だっただろう。 鎧の効果で、徐々に傷口が塞がり回復しているが、それでも瀕死の重傷には変わりない。 リオは、彼に『ベホマ』を施したが、予想外に回復に時間を要することになる。 『ほお? あの攻撃をよく耐えたな。 今の技は[ビッグバン]だ。 お前たちがよく知る[イオナズン]の上位だと言えば、説明がつくかな?』 アスラゾーマは余裕の笑みを浮かべる。 リオは唇を噛み、瞳に涙を溜めながら、キッと大魔王を睨み付けた。 パーティの指揮を執れる者達が、次々に倒されていく。 勇者アクシズ、死亡。 勇者オルテガ、死亡。 勇者アイリ、戦意喪失。 賢者ディートは、瀕死の重傷。(しかも、『ベホマ』の完治に非常に時間がかかる。) 見るにたえない、無残な状況……!! __神様……教えて下さい……。 私達は、このまま滅びる運命なのでしょうか……。 どうか私達に、勝機をお与え下さい……!! ディートの身体を抱き締めたまま、リオは必死に神に祈った。 別に、どの神かは特定していない。 今はただ、光が欲しかった……。 何でも良い……。 突破口を開く光が……。 |
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