<2> | ||
一方『ゾーマの城』を脱出しようと急ぐカンダタ達は、 魔王軍の残党に追い回されていた。 「何で、こいつら『しつこい』んだよ!!!!」 オルテガの遺体を抱えている為、上手く闘えない。 魔王軍の残党なので、雑魚なのだが動けないとあっては……。 その時だった。 澄んだ竪琴の音色が聴こえる。 魔物達の動きが止まる。 「キレイな音色だね……。」 ミニモンが、旋律に耳を澄ませ、気持ち良さそうに目を細めた。 エルマも立ち止まったまま、唖然としている。 「皆、闘いは終わりました……。 各自の住処(すみか)へ戻りなさい……。」 美しい旋律の中に、歌うように優しい男の声が響いた。 カンダタは目を凝らし、その吟遊詩人を見据えた。 気持ち良さそうに演奏を聴いていた魔物達は、やがて城から去っていく……。 それを見届け、吟遊詩人は温かい笑みを見せた。 「ほら。 話せば、彼等も解かってくれるんです。」 彼の言葉に、ミニモンも「うんうん」と頷く。 「僕、解かったよ〜。だって凄く優しかったもん。 アクシズ様も凄く優しかったけど、お兄さんもそうなんだね♪」 小さな無邪気な魔物の、可愛らしい言葉に、吟遊詩人の表情が緩む。 そして、その小さな頭を優しく撫でた。 「ガライ!!」 吟遊詩人の名前を呼び、グレイがやってきた。 後をレジスタンスの集団が付いて来る。 「ガライ!?」 その名に反応し、カンダタの表情が固まる。 エルマが、その訳を問う。 「知ってるの?」 「知ってるも何も、アレフガルドじゃあ有名人だ。 噂には聞いていたが、ありゃ、噂以上の実力だよな〜〜。」 魔王軍の残党を、竪琴の音色だけで引かせてしまった。 その実力を称讃し、カンダタは感嘆のため息をついた。 |
||
■次へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |