『勇者アクシズよ。
 お前は、何か忘れてはいないか?』

ゾーマが深い声で語りかけてくる。
勇者アクシズは、身構え闇の王を見上げた。
彼は勇者アイリを守って、1人先頭で対峙している。
目の前の勇者に、ゾーマは嬉しそうに嘲笑する。

『私はお前の[勇者の魂]でも良いのだよ……!!』
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ゾーマは口を開け、1つの『魂』を解放した。
それは、徐々に大きくなり、象っていく。
骨だけの姿で……。

それは手前の勇者アクシズと、後にいる勇者アイリ達の間に降り立ち、
まるで壁のように立ち塞がった。

「アクシズ……!!」

勇者アイリが、悲痛な叫び声を上げる!!
だが、彼は振り返らない。

__駄目、彼を取らないで!!

慌てて駆け寄ろうとするが、その骨だけの魔物に行く手を遮られた!!
エビルはその魔物を見て驚愕する。

「……バラモスなのか?」

だが、返事は無い。
バラモスゾンビは、凄まじいまでの力を持って、
アクシズに駆け寄ろうとするアイリ達を止める!!

「其処をどいて!!
 お願い、私を行かせて……!!」

アイリは絶叫するが、バラモスゾンビは機械的な動作で、自分の頭蓋骨を投げてきた。
エビルが慌ててソレを受け止め、驚愕してまた投げ返す。
賢者ディートは、『スクルト』を詠唱し仲間の守備力を上げた!!
戦士クリスが、『バスタードソード』を『破壊の鉄球』に持ち替え、
バラモスゾンビから繰り出される拳に直撃させる!!!!

「魔法は使いませんけど、予想外に強いですわね……!!」

魔王バラモスと一戦交えたことのある、僧侶リオが言う。

「暢気な事を言っている場合じゃないぞ!!
 ゾーマが狙うべき勇者は『1人』じゃない!!
 ココに『2人』いたんだよ!!」
戦士クリスが声高に叫んだ。

アイリは、『王者の剣』をなぎ払い、バラモスゾンビの脛を斬る!!
オリハルコンの刃は、骨を簡単に破損させた。
だが、彼女の視線は、奥のアクシズに注がれたままである。
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