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「許して、ブロス……!!」

勇者アイリは、ブロスの眉間に『王者の剣』の切っ先を突き立てた。
剣から稲妻が発せられ、魔物の全身に電撃が走る。

「ごめんね……。
 ……ごめんね!!」

__苦しかったでしょう……。

徐に剣を抜き、彼女はその場に佇んだまま動かなかった……。

ブロスの巨体は崩れるように倒れ、
やがて灰になる。

__絶対、許さないわ……。

勇者アイリは、必死に怒りを抑えるが、
高まる鼓動は血の中に眠る『何か』を目覚めさせようとしている……。

ブロスが絶命したのを見届けると、
ゾーマ自ら玉座から立ち上がり、勇者達の前までゆっくり歩み寄ってきた。
アイリは、静かにゾーマを見据える。

『アイリよ。
 なにゆえ、もがき生きるのか……。
 滅びこそ喜び。
 死に逝くモノこそ、美しい……。』

そして、ゾーマは自らの腕を広げた。
こちらへ来いと言わんばかりに……!!

『さあ、ワシの腕の中で息絶えるが良い!!!!』

「冗談じゃねえぞ!!!!
 絶対にアイリは渡さんからな!!!!」
勇者アクシズが叫ぶ。

「ここからが、本番ですね……!!」
賢者ディートが言うと。
「じゃあ、守って下さいね♪」
僧侶リオがいたずらっぽく彼に微笑む。
彼は狼狽したが、力強く頷いた。

「土壇場で、やっとか……。
 本当に長かったな。」
そのやり取りを目にし、戦士クリスが嘆息した。

__絶対負けられない……!!

もうこれ以上、ゾーマの野望を許すわけにはいかない!!!!
アイリは唇を噛み締めゾーマを見上げた。
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