<7> | ||
「許して、ブロス……!!」 勇者アイリは、ブロスの眉間に『王者の剣』の切っ先を突き立てた。 剣から稲妻が発せられ、魔物の全身に電撃が走る。 「ごめんね……。 ……ごめんね!!」 __苦しかったでしょう……。 徐に剣を抜き、彼女はその場に佇んだまま動かなかった……。 ブロスの巨体は崩れるように倒れ、 やがて灰になる。 __絶対、許さないわ……。 勇者アイリは、必死に怒りを抑えるが、 高まる鼓動は血の中に眠る『何か』を目覚めさせようとしている……。 ブロスが絶命したのを見届けると、 ゾーマ自ら玉座から立ち上がり、勇者達の前までゆっくり歩み寄ってきた。 アイリは、静かにゾーマを見据える。 『アイリよ。 なにゆえ、もがき生きるのか……。 滅びこそ喜び。 死に逝くモノこそ、美しい……。』 そして、ゾーマは自らの腕を広げた。 こちらへ来いと言わんばかりに……!! 『さあ、ワシの腕の中で息絶えるが良い!!!!』 「冗談じゃねえぞ!!!! 絶対にアイリは渡さんからな!!!!」 勇者アクシズが叫ぶ。 「ここからが、本番ですね……!!」 賢者ディートが言うと。 「じゃあ、守って下さいね♪」 僧侶リオがいたずらっぽく彼に微笑む。 彼は狼狽したが、力強く頷いた。 「土壇場で、やっとか……。 本当に長かったな。」 そのやり取りを目にし、戦士クリスが嘆息した。 __絶対負けられない……!! もうこれ以上、ゾーマの野望を許すわけにはいかない!!!! アイリは唇を噛み締めゾーマを見上げた。 |
||
■この次の[STORY_20]へ ■前へ ■『DQ3』外伝CONTENTS |