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「く……。」
致命傷を負い、キングはそれでも諦めず立ち上がろうとする。
だが、背中の神経を斬られ、強力な電撃を当てられた。
これで動ける方がおかしい……。
彼は、苦笑した。

視線だけを上にやる。
視界が悪くなりかけているが、勇者アイリの姿を確認し、彼は微笑した。
憎いはずの勇者アクシズもいたが、今はそんなことはどうでも良かった。

「どうして、ゾーマの為に闘うの?」
アイリが問うと、キングは苦笑して答えた。

「……貴女を、……守る為……ですよ……。
 私なりに……ね。」

「でも、貴方は父の仇(かたき)だわ……。
 悪いけど、私は貴方を好きには、なれない……。」

「……わかっていましたよ……。
 じゃあ……、
 せめて貴女の手で、最期をくれませんか……?」

アイリは『王者の剣』を掲げ、勢いよく振り下ろした。
キングの身体は砂のように崩れ、やがて消えていく。

その様子を見守っていたアクシズは、徐に近寄ると、優しく彼女の肩を抱いた。
アイリは、俯き瞳に涙を浮かべている。
彼は嘆息すると、彼女を励ました。

「奴も、本望だったんだ。
 悔やむ必要なんかない。」

一同は、祭壇の階段を下り、向こう側に立つ。
更に奥に進む。

だが……。
巨大な魔物がまたしても立ちふさがり、その姿を露にする。
魔物は無表情で、勇者達を見下ろした。
瞳に光は無く、生きているのか死んでいるのか解からない……。

「ブロス……!!?」

一番最初に彼を呼んだのは、エビルだった。
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『DQ3』外伝CONTENTS