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『手酷くやられたものだな……。』 大魔王ゾーマが、仕方ないと嘲笑する。 だが、既に彼の姿は変貌し、腕の本数も増えていた。 『オルテガ』の『勇者の魂』の影響か、元々の『氷の属性』が変化し、周囲の氷柱は、 大魔王の間の地下に位置するマグマに溶かされ、室温も平常に戻っていた。 ゾーマの城、最深部。 大魔王の間に戻ったキングは、人間の姿に戻っていたが、未だ片目のままだった。 傷は癒えても、一度飛び出した目は治らない。 それが回復呪文の掟でもある。 __アクシズ……。許しませんよ……!!!! 怒りに震える手で、失った片眼を押さえる。 何よりキングは、アイリがアクシズを愛していることが許せなかった。 強大な力を持ちながらも、美しく魅力的な勇者アイリ。 その彼女が、勇者アクシズの前ではタダの少女に戻ってしまう!! 大魔王ゾーマを脅かす存在となる『真の勇者』である彼女が……!! キングは、唇を噛み締め、壁に向かって拳を振るった。 石壁は拳の形に崩れ、粉砕し穴があく!!!! キングの怒りを目の当たりにし、ゾーマは冷たく嘲笑する。 まるで、勇者アクシズに対して「もっと怒れ」といわんばかりに。 『キングよ。悔しいか?』 ゾーマが語りかけてくる。 キングは取り乱した自分を恥じ、体勢を整え平伏した。 「も、申し訳ございません!!!! 今一度、私に『機会』を……!!!!」 『そんなに、[勇者アイリ]が欲しいのか。 解かった……。 お前は、[勇者オルテガ]の[魂]を手に入れた。 それに免じて機会を与えてやろう……。』 「はは……!!!! 必ず!!!!」 ゾーマの顔が、欲望の笑みに変わる。 もう直ぐ、2つの若い『勇者の魂』が手に入る……!! 面白いように自分の思い通りになっていくのが、たまらなく嬉しいのか、 彼の笑いは止まらなかった……!!!! |
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