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勇者アイリは、自分を見つめたまま、 呆然と佇む勇者オルテガの後に迫る巨大な爪を目にし、愕然となる。 彼女は絶叫する!!!! 「父さん、逃げてええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……!!!!」 だが、無情にもキングヒドラの爪が、オルテガの背中を深く切り裂き、 大量の鮮血が飛び散る……!!!! オルテガの身体が、崩れるようにうつ伏せに倒れた。 床に、血溜りが広がっていく……。 アイリは、その凄惨な光景に震撼する。 ……しかし、彼女は目を逸らせない。 いつものオルテガなら、避けられた攻撃だった。 だが、彼は連日連夜、不眠不休の激戦で、疲労が限界に達し、 敵の攻撃を許す形になってしまったのだ……。 キングヒドラは、オルテガに致命傷を与え、彼がもう直ぐ死ぬと確信した後、 ヒドラ変身時の消耗が激しいのと、自分の傷を癒す為、 その場から立ち去ってしまう。 だが、勇者達は追う気になれなかった。 勇者アクシズは、徐に立ち上がると、オルテガの傍まで歩み寄り、 自分の腕が血で汚れるのも構わず、彼を抱き起こした。 まだ、息がある。 だが……。 アイリは、徐に彼等に近寄ると、その場にしゃがみこむ……。 そして、父の手を握った。 父は、娘に微笑みかける。 大量出血の為、既に彼の目は見えていない……。 「……アイリ……。」 「オルテガさん。しゃべっちゃ駄目だ!!!!」 アクシズは叫ぶと、オルテガに回復呪文『ベホマ』を施すが、 彼の身体が既に死に向かっているのか、全く効果が表れない。 アクシズは愕然となった。 オルテガの手を握るアイリの瞳から、涙が溢れ出す。 喉から擦れるような声で、父は娘に最期の言葉を残す……。 「……アイリ……。 ……すまない……。 お前を……守って……やれなかった……。 ……ゾーマを……倒せなかった……、 父を……許してくれ……。」 そして、彼の身体から全ての生命力が消える……。 娘を守れなかった自分を悔やみ、オルテガは静かに息を引き取った……。 |
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