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「貴方達は、忘れていますよ……。 私が『何故』、『魔王軍幹部』の位置についているのかね〜〜♪」 キングは、血塗れの身体に似合わず、両腕を広げて面白そうに勇者2人を嘲笑っている。 何が可笑しいのか!? 勇者2人は、互いに顔を見合わせると、再びキングに向き直った。 だが、次の瞬間、彼等はその信じられない光景に愕然となる。 キングの身体が、徐々に膨張し始め、姿を変えていく……!!!! 手足の指先の爪が伸び始め、徐々に巨大化していく。 背中から、蛇の頭のようなモノが何本も伸び始め、 皮膚に紅い鱗が着き始める……。 彼の身体は巨大化し、やがて五本ある首の一本が勇者2人を見下ろし、語り始めた。 「……この姿が、本当の私なのですよ……。 でも、消費が多いのと、力が加減できないので、 普段、あの『人間』の姿に化けていただけです……。」 完全に『キングヒドラ』の姿に戻り、キングは深い声で笑った。 今までの戦闘は彼の『茶番劇』だったらしい。 ……と。 五本の首が、一斉に彼等に向かって炎を吐いた!!!! 「いきなりか!!?」 アクシズが咄嗟に、爆発呪文『イオラ』を唱え炎を分散させた!!!! だが、爆風で2人は後方へ跳ね飛ばされる。 壁に激突したものの、致命傷は避けられた……。 オルテガが話し掛けてくる。 「アクシズ君。 聞こえるか?」 「はい……。」 返事をする彼を見て、 オルテガが微笑む。 「私は、娘が選んだ相手が、君で本当に良かったと思っている……。」 「土壇場で、わざわざ、ありがとうございます……。」 拍子抜けて、狼狽するが、アクシズは礼を忘れなかった。 本命アイリの為にも2人とも死ぬわけにはいかないであろう……。 それは、敵であるキングヒドラだって同じ事だったのである。 キングもアイリが欲しくて、彼等との戦いに挑んでいる……!! 彼等にとっては、世界は二の次だったかもしれない。 ここから、長期戦の構えでいかなければならないだろう……。 彼等がそう感ぜずにはおれないほど、『キングヒドラ』は巨体であった……。 |
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