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勇者アイリは、『虹の雫』で『ゾーマの城』の『結界』を解いた。 だが……。 「相変わらず、やり方が卑劣だな……。」 勇者アクシズは、相変わらず変身を解かないキング(キングヒドラ)を睨みつける。 ココは、『ゾーマの城』の地下に位置する、地下水路前。 勇者オルテガと、勇者アクシズは、共に橋の上に立ち、 ヒドラ族・魔王軍幹部キング(キングヒドラ)と対峙していた。 彼は、今は人間の姿を取っているが、ソレがよりによって『勇者アイリ』の姿だった訳だ。 高等なヒドラ族は、変身呪文『モシャス』又は、 呪文を使用できない者は対象を喰う事で人間の姿に変身できる……。 八叉ノ大蛇がかつて、卑弥呼に化けたように。 キングも、元は魔界の守護神『グランドラゴーン』に仕えた強力なヒドラ族である。 『モシャス』が得意な彼にとって、人間に化けることなど朝飯前だった。 「……。」 記憶を取り戻した勇者オルテガは、自分の娘・アイリに変身したキングに対し、 湧き上がる怒りを必死に抑えているようである……。 キングは、そんなオルテガに視線を移し、声高らかに笑い出した。 だが、『勇者アイリ』の姿と声のままだった。 __……!!? オルテガは、そんなキングを目にし、顔を引きつらせた。 普通、親子ならば血の呼び合う温かな感覚がある筈だ。 ところが、そんなものは微塵も感じられないどころか、 逆に皮膚がざらつくような寒気を感じる……!! ……と、 この異常な状況に耐えられなくなったのか、オルテガが『雷神の剣』を振り翳し炎を呼ぶ!!!! キングは『炎の耐性』を持っているのか、自らの掌で炎を受け止めると、 まるで物のように握りつぶしてしまった!!!! 「……オルテガさん!!?」 勇者アクシズが、突然取り乱し攻撃に出た勇者オルテガに驚愕し、視線を彼に移す。 オルテガは、肩で息をしながら、キングを鋭い目で睨みつけている……。 キングはヘラヘラと嘲笑ったままだ。 『雷神の剣』を握るオルテガの手に、更なる力が篭る。 __俺だって、腸(はらわた)煮えくり返ってるよ……。 アクシズはオルテガを見て、嘆息すると、 『ガイアの剣』を握りなおし、キングに向き直った。 そして強い口調で、挑発とも取れる言葉を放つ……!!!! 「キング。変身するなら、もっと上手くやれ。 『本物のアイリ』はもっと可愛いんだよ……!!!!」 その言葉を合図に、戦闘が開始された!!!! |
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