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「ひょっとして、アイリを逃がさない為の演出じゃないわよね。」 完全に密室と化した部屋を見回しながら、 盗賊エルマが静かに呟く。 確かに、狙われているのは、『アクシズ』と『オルテガ』だけではない。 勇者2人はアイリを守りたい一心で、彼女より先に出ただけの事である。 大魔王ゾーマは『アイリ』の『勇者の魂』も欲しているのだ。 「……。」 一同は沈黙し、警戒しながら部屋の周囲を見回す。 ……と。 地響きが部屋を襲い、6体の石像が、全て動き出したではないか!! 「よりによって、『大魔神』か……。 意外と厄介だぞ!?」 エビルは、拳を握り締めると、大魔神の一体に殴りかかった!! アイリも『王者の剣』を振り翳(かざ)し、稲妻を呼ぶ!!!! 稲妻は大魔神達を襲い、怯ませたが、何せ無機質な物体ゆえ表情が解からない。 続いて、クリスが手持ちの武器を『破壊の鉄球』に持ち替え、 魔物達に向かって振り回す!!!! 狭い部屋の中で、その攻撃をされた為、皆、慌ててしゃがんで避ける。 クリスの『破壊の鉄球』は、大魔神達を全て破壊し、粉々にしていく。 彼女の攻撃が終わると、一同は立ち上がり、ホッと胸を撫で下ろすと嘆息した。 一歩間違えれば、巻き添えを食いかねない状況になっていた……。 「も〜〜、勘弁してよね……!!!! こっちがお陀仏になるところだったわよ!!!!」 エルマがいきり立ち、クリスに抗議したが、 当の本人は、そ知らぬ顔で聞き流している。 部屋の大魔神達が、全てタダの石の残骸に変わると、 勇者アイリ達を閉じ込めていた鉄扉が前後両方同時に開いた。 この先の部屋は、バリヤー張りの床になっており、 賢者ディートの『トラマナ』で、その場はしのいだ一行だったのだが……。 「また、躓(つまづ)きましたわね……。」 リオは嘆息し、項垂れた。 それもその筈、バリヤー張りの部屋には、玉座が1つ置いてあるだけで他に何も無い。 大魔王ゾーマはおろか、勇者アクシズと勇者オルテガの姿も無かった。 勇者アイリは、玉座に徐に近づくと、先ずは怪しい所を探し出す。 旅の中で、こういった『謎解き』に慣れてしまった彼女は、 細かい探し物を見つけるのも、お手の物である。 「確か、パターン的には、ココで何か『ボタン』とか有るのよね……。」 そう言って玉座の後に周り、彼女は笑顔になる。 __あった!!!! アイリが、玉座後にある『隠しボタン』を押すと、 予想通り、隠し階段が現れた。 「確かに、こういうのって、『お約束』ですよね?」 ディートは、苦笑すると頭を掻いた。 後は、先に行った勇者2人を追うだけである。 「行きましょう。」 勇者アイリの言葉に、一同は顔を見合わせ、頷いた。 |
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