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地下世界アレフガルド。 『ゾーマの城』が佇むイシュタル島。 勇者アイリ達9人は、『結界』を破り、『虹の橋』を渡り、島内部に侵入した。 入って直ぐの凄惨な光景に、一同驚愕し言葉を失う。 「アクシズと、オルテガさんって、本当に無茶しますね……。」 沈黙を破って、賢者ディートは嘆息した。 イシュタル島は、何処までも続く魔物の死骸の山と、散乱した魔物の羽、 草木も焼け崩れ、青い血に染まった死の大地に変貌を遂げていた。 そして、更に奥に進むと、今度は大地が削れて更地になっている。 もっとも、この更地の原因はアクシズの『マダンテ』発動が原因なのだが……。 勇者アイリは、周囲を見回す。 だが、勇者2人の姿は見当たらない。 もう、『ゾーマの城』内部に侵入したのだろうか? 「でも、お2人が強くて本当に良かったですわね。 ね。アイリ♪」 僧侶リオが、アイリに微笑みかける。 同じ勇者とはいえ、彼女にとっては『父親』と『恋人』という存在である。 思わずアイリは、顔を真っ赤にして俯いた。 「……。」 カンダタは腕組しながら周囲を見回している。 やがて、彼は真剣な表情でアイリの傍まで近づいてきた。 「アイリ。 アクシズ達、何時から戦闘を始めていたんだろうな……。」 「確か、ブロスが私達の前に現れたのは、丸2日前位だったと……。」 言って、アイリは愕然となる。 勇者アクシズと、勇者オルテガは、彼女達が辿りつく前にも、 ずっと戦闘を続けていたのである。 それも、魔王軍の総力を結集した軍隊とである。 今の、彼等の疲労は限界であってもおかしくない……!! アイリは思わず、胸の前で両手を握り締める。 __……2人とも……。生きていて……!! しかし、祈ってどうなるものでもない。 勇者アイリは、キッと城門を睨みつけると、仲間達に向き直る。 「皆。 今まで、こんな私に着いて来てくれて、ありがとう。 私の一生のお願い。 皆の力を私にもう一度、貸して……!!!!」 ソレは勇者というよりは、いかにも少女らしい頼み方だった。 アイリの言葉に、緊張感で固まっていた仲間達の顔が一瞬綻ぶ。 そして……。 仲間達は、勇者アイリに向かって、力強く頷いた。 |
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