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アクシズの全魔法力は、巨大な炎に変換され、そのまま『イシュタル島』全土を覆った。 魔物の大群は次々に消し炭となり、炎が消えた頃には、何も無い大地が残る。 オルテガは唖然としたが、魔王軍は見事全滅である。 ……と、アクシズは急に頭を抱え、苦痛に顔を歪めた。 「……っ痛……。」 「大丈夫か? でも、お手柄だったぞ。」 オルテガは力強く微笑んで彼を称讃する。 「でも、この技は何故か全魔法力を消費するので……。 使う場所を選んでやらないと、逆に不利になるのですよ。」 何と、アクシズは技の名称も意味も知らずに使っていたらしい。 「その技は威力からして多分、『マダンテ』じゃないのかな……?」 オルテガは、自分と彼に回復呪文『ベホマ』を施し、技の名称を語った。 記憶を失っているとはいえ、『地上界にルーラ出来ない範囲』なのだ。 流石に『技名称』はソレに該当しないので、覚えていただけの事である。 「先ず、魔法力を回復した方がいいな。 今『魔法の聖水』を出すから待っていてくれ……。」 オルテガが道具袋から、『魔法の聖水』を取り出そうとするが、 アクシズは制して止めさせる。そして、技の名称を問うた。 「いえ。いいです……。 確か、『祈りの指輪』がまだ未使用だったと思うので、これで回復します。 あと、『マダンテ』って、今の技がそうだったのですか……? 俺にはタダ、炎を呼んだ感じにしか見えなかった……。」 「そうだ。アレは『炎』の技だ。 『炎』の耐性を持つモノには、致命傷に至らない場合もあるのだが、 君は魔法力を温存しながら闘っていたし、それで威力があったのだろう……。」 実証もあるのだが、『マダンテ』は『炎』系に分類され、 『炎の耐性』のある魔物には『威力が減少した』記録が残っている。 ソレが使えたからといって、使用場所を間違えると、逆にコチラが不利になる。 勇者アクシズの場合、『イシュタル島』入って3分の2に位置する場所まで粘り、 発動させたのであった。だから、コチラに有利になったのである。 アクシズは、『祈りの指輪』である程度回復させると、オルテガにもソレを渡し回復を促す。 指輪は2人分の魔法力を回復すると、崩れ落ちてしまった。 「とにかく、アクシズ君。 第1戦目は我々の勝利だ。」 オルテガは、微笑んで言う。 アクシズもソレに答えるように微笑んだ。 |
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