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勇者アイリ達一行と入れ違いで旅立っていた、
勇者アクシズと勇者オルテガは、『結界』前に立っていた。

リムルダール地方と『ゾーマの城』があるイシュタル島を結ぶ為、
闇の橋が架けられている。
ダイラスの言ったとおり、『結界』は開いており、
勇者2人を歓迎しているように感じられた。

「……ちっ!!
 ゾーマの野郎、ご丁寧に歓迎しやがって……。
 俺達を、馬鹿にしているのか……!!?」

アクシズはこの歓迎振りに思わず舌打ちした。

大魔王ゾーマの目的は『勇者の魂』取得である。
魔王バラモスの時のように、『勇者が強いから倒す』のではない。
彼等が『狙われる意味』が、非常に異なるのだ。

蘇生呪文『ザオリク』は本来『肉体』と『魂』の2つが揃って初めて蘇生が成立する。
一度死んで、しかも『魂』が喰われると、それすらも叶わない。
ココから先、もしものことがあったとしても、
勇者達は生き返ることすら儘(まま)ならないのだ……!!
それは、危険を通り越し、理解し難い異常な世界だった。

「だが、そのゾーマに対抗できるのは、我々しかいない訳だ。
 まったく皮肉な話だな……。」

オルテガは嘆息した。
彼も、アクシズからゾーマの本来の目的を聞き、
その覚悟は出来ていたつもりだったのだが……。

__アクシズ君が、どうして『娘を闘わせたくない』のか理解できたよ……。

勇者2人は互いに顔を見合わせると、力強く頷いた。
両者、闇の橋に足を掛け、徐に島へ向かって進んで行く。

ここまで来て、たとえ罠だとわかっていても、引き返す訳にはいかない……!!
一度、『結界』内に踏み込んでしまえば、魔王軍は彼等を殺しに来るだけである。

彼等が完全に橋を渡り終えると、闇の橋が消え、『結界』が閉じてしまう。
……と、彼等を待ちわびた様に、隊列を成して魔物の軍隊が現れた。
魔王軍も、総力戦で来ている……!!

「もう、ゾーマを倒すまでは、引き返せないな……。」

言って、勇者オルテガは『雷神の剣』を鞘から抜き放ち、身構える。
勇者アクシズも、『ガイアの剣』を鞘から抜き、構えを取った。
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『DQ3』外伝CONTENTS