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「アイリ、休みましょうよぉ〜〜!!!!」 連日、歩きずくめの旅に疲労を隠せないのか、僧侶リオが駄々を捏ねた。 確かに、リムルダールの町に着いたのは良かったが、 アイリ達は休息らしい休息を取っていない……!! アイリは仲間達8人の顔を順に見回す。 やはり、皆、疲労の色が伺えた。 すれ違いで旅立った勇者2人のことが気になるが、 ここから先は慎重に行かねばならないだろう……。 これで、疲労で大魔王ゾーマが倒せなかったら、いい笑い者である!!!! 一行は、取り敢えず宿に泊まることとなった。 アイリとリオが同室になり、2人はベッドに座って同時にため息をつく。 今まで行き詰る攻防の連続と、連日連夜の旅で、心休まることが無かった。 「ココの闇にも慣れちゃったね……。」 窓の外から見える、アレフガルドを覆う闇。 もはやアイリは、普通にその状態を受け入れられるようになってしまっていた。 この異常な状態を……。 ……ふと、思い出したように掌を広げ、オルテガの残した結婚指輪を見つめる。 そのリング部分には、間違いなく自分の両親の名前が彫ってあった。 「それ、『命の指輪』ですわね。 オルテガ様って、やっぱり凄い方だったのですわ……。 そんな珍しい指輪をアイリのお母様にプレゼントしたのですもの。」 「じゃあ、もちろん『2つ』あるのよね……。」 もう1つは、アイリの母親が持っているのである。 「父さん……。 たとえ記憶が無くても、コレだけは大事に持っていたのね……。」 安心した様に、アイリは微笑んだ。 オルテガは、どうすれば自分の子供が安心出来るのかを知っているようである。 どんなに離れていても、記憶が無くても、家族は家族である。 アイリは黙って母の元から行ってしまった自分の行動を後悔した。 __母さん、元気かな……? それとも怒っているだろうか? いや、アイリは母に叱られたかったのかもしれない……。 ルシアは、娘をあまり怒る母親では無かった。 娘を『普通の女』としてではなく、『勇者』として育てなければいけないことに対し、 彼女は自責の念にかられていたのだろう。 |
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