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リムルダールの町。 旅の疲れを癒し、万全な状態になった勇者アクシズと勇者オルテガは、 各自出発の準備を整えていた。 ……と、そこへダイラスが朝の挨拶に入ってきた。 彼は、勇者2人が旅の支度をしているのを見て、思わず慌てる。 「も、もう行ってしまうのですか!? た、確かに僕が見てきた時には、『結界』は開いているみたいでしたけど、 だからと言って、そんなに早く旅立たなくたって……!!」 オルテガはそんな彼を制し、自分の結婚指輪である『命の指輪』を渡す。 「ダイラス君。 この指輪を、娘・アイリがこの町に訪れた時に渡してやってくれ。」 オルテガが言うと、彼は何を勘違いしたのか。 「オルテガ様の娘さんを幸せにすればいいんですね!?」 と、言った……!! 勇者2人は思わず目が点になる。 ……と。 「たわけ!!!!」 アクシズは思いっきり不機嫌な表情で、ダイラスの頭を叩いた!! 加減はしているが、痛いものは痛い。 「な、何するんですか……!!?」 ダイラスは、大きなコブの出来た頭を押さえ、アクシズに抗議した。 すると、オルテガが苦笑して若き勇者の言葉を代弁する。 「ははは……。ダイラス君。 君の気持ちは有り難いのだが、 あいにく私の娘はアクシズ君の予約済みでな。 そういう意味ではないのだ。 娘に、『ただ渡してくれるだけ』で良い。」 まるで、自分が生きて戻れる保障が無いとでも、言いたげな台詞だった。 ダイラスは狼狽しながら、オルテガと指輪を交互に見つめる。 しばらくして、意を決したように彼は深く頷いた。 「解かりました……。 必ず、僕がお渡しします。」 オルテガは、ダイラスに向かって感謝の意を述べると、 次はアクシズに視線を移す。 「アクシズ君。 君もココに残るか?」 彼も娘の大切な恋人である。 だが、オルテガに問われて、アクシズは直ぐに拒否した。 「いえ。 オルテガさんと一緒に行きます!!」 「そうか……。」 オルテガは思わず嘆息した。 |
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